家族のため、自分のため、もしもに備えるエンディングノート<前編>

 あなたが突然入院したら、認知症になったら…。周りの人は、通帳にクレジットカード、親族の連絡先などすぐに確認できるだろうか? あなたが希望する終末医療や葬儀を、周りは知っているだろうか? そんな「もしも」に備え、健康で元気な今のうちに、周囲と話し合おう。そのきっかけづくりに「エンディングノート」が役立つ。構えず、気軽に書いてみよう。

4つの心がまえ

1.全部書かなくてOK

 答えが出ない部分は、無理に書く必要はない。

2.後から変更してもOK

 今日書いた内容は、近い将来変わることもある。自由に書き加えたり、変更したりしよう。

 

<アドバイス> エンディングノートは、形式ばらず、思いつくままに。また完結するものでもありません。数年ごとに見返すと良いですよ / ひかりの森 代表 寺口重光さん

3.周囲に見せよう

 ノートに書いた内容はできるだけ家族に見せて、話し合おう。自分の考えを家族に知ってもらうきっかけになる。家族に見せたくない場合は、友人知人など信頼できる人に。

4.見える場所に置く

 ノートは、誰でもすぐに見つけられる場所に置こう。仏壇、冷蔵庫、リビングなどもしもの時にも周囲が見つけやすい場所が最適。

第1章 私のこと

まずは、自分の身の回りのことから書き始めよう。

●プロフィール

・名前

・生年月日

・住所

・本籍地

親族連絡先

・氏名  ・住所  ・電話番号  ・関係(例:いとこ、兄)

●友人・知人連絡先

・氏名  ・住所  ・電話番号  ・もしもの時の連絡(要・不要)

第2章 老病死について

 認知症などで判断能力が低下したり、意識不明や重篤な状態になったりしたときに備え、介護に関する希望や、持病、常用薬などについても書いておこう。延命治療や臓器提供については、事前に記載が必要だ。子どもたちの意見が分かれそうなところはきちんと書いておこう。

●かかりつけ医療機関・介護施設

●持病と服用している薬(病名・症状/薬の名前)

●要介護になった時、介護をお願いしたい人

 □ 家族(配偶者や子ども夫婦など)
 □ 介護保険によるサービス+家族の介護
 □ プロのヘルパーやケアサービス
 □ 家族に任せる

●介護のキーパーソンをお願いしたい人

 第1希望/名前・続柄・連絡先
 第2希望/名前・続柄・連絡先

<ワンポイント> 民法改正

 相続人ではない親族(例えば子の配偶者など)が介護を行った際、金銭の支払い(特別寄与料)を請求できるようになった。ただし介護記録や経費記録の日誌が必要となる。

●介護を受ける場所

 □ できれば自宅や親族宅で
 □ 病院や施設で
 □ 家族に任せる

●介護費用

 □ 私の預貯金・年金・保険で支払い
 □ 私の財産を処分して
 □ 家族に支援をお願いする
 □ 介護してくれる人に任せる

●認知症になったら

 □ 家族の(    )に任せる
 □ 任意後見人を定めている(氏名・連絡先)
   内容:□見守り □任意代理(財産管理) □任意後見 □死後事務委任
   証書の保管場所:(     )

<ワンポイント> 成年後見制度

 将来、判断力が衰えた時に、預貯金管理・年金や社会保険給付の手続き・介護施設入所手続きなどを、自分に代わり行ってくれる人を選ぶ制度。後見人には親族のほか、弁護士や司法書士、社会福祉士などの第三者も可能。その場合、報酬が必要になることも。

●延命治療について

 □ 希望する   □ 希望しない
 □ 家族に任せる
 □ 尊厳死を希望し「宣言書(リビングウィル)」「尊厳死宣言公正証書」を作成している。 保管場所:(    )

●臓器提供・献体について

 □ どちらも希望しない
 □ 臓器提供を希望する
 □ 献体を希望する

<ワンポイント> 臓器提供

 家族の承諾が必要となるので事前によく話しておこう。臓器提供についての詳しくは「日本臓器移植ネットワーク」へ。

【出典】奈良の情報誌「月刊yomiっこ」2020年3月号の記事を改編

家族葬を取り扱う施設

家族葬ホール ひかりの森(平群町)
セレモニーホール有宏社・セレモニーホール雅(大和高田市)
株式会社 公益社(奈良市)