備えあれば憂いなし! 令和の供養考 【葬儀編】

 インターネットでモノが大量に消費される時代。核家族化が進み、SNSやスマホといったコミュニケーションも変化し、ご近所づきあいも昔に比べずいぶん薄くなった。終活においても、合理化・簡素化の波が押し寄せている。平成から令和へと新時代を迎えた今、日本人の供養のこれからを考えてみた。

【質問】
自分が死んだ後の葬儀が不安。子どもには迷惑をかけたくないのですが、どうしたら良いでしょうか?

 

【回答】
まずは一歩踏み出して。家族で話し合い、地元の葬儀社に相談を!

親と子、それぞれの想い…

「残された娘や息子に迷惑をかけたくない。だから葬儀費用も自分たちで、なるべくお金をかけずに」と、葬儀社主催の終活セミナーに相談に訪れた70代の老夫婦。しかし後日、子どもに尋ねると「両親をできる限りの気持ちで手厚く見送ってあげたい」と考えているという。死後の手続きで特に不安や疑問の多い「葬儀」― 。配偶者・子どもなど残された人は、故人が逝った悲しみを抱きながら、限られた時間で様々なことを次々と進めなくてはならない。精神的、肉体的にも相当なパワーが必要だ。では、理想的な葬儀を行うためには、どうすれば良いか?

終活セミナーのようす

家族で話し合い、専門家に相談を

 答えはシンプル。元気なうちに家族で話し合い、専門家に相談すること。「誰を呼んで、どんな葬儀にするか? 予算は?」そのためには、インターネットで格安ばかりを謳う業者ではなく、その土地に精通している葬儀社を複数見ておくことがベストだ。「インターネットの情報だけで、プラン・予算を決めた場合、後日トラブルになるケースも。決める前に、執り行う葬儀社の公式ホームページをチェックし、葬儀社を事前に訪れて相談・打ち合わせされることをお薦めします」(株式会社公益社)。

スタイルは無限。その人らしい葬儀を

 また、葬儀のスタイルも一つじゃない。「バイクのハーレー乗りだったある方の葬儀では、仲間の参列者が革ジャンを着て、故人の愛車のエンジンを吹かせ、その音でお見送りされた。心がパァーと晴れやかにさせてくれる瞬間でした」と、家族葬ホールひかりの森・寺口重光代表は教えてくれた。その人らしい葬儀が、周りを幸せにし、故人の新たな思い出へと変わる。 

 すべての願いを満たせる葬儀は難しいかもしれない。でも限られた条件の中でも、ベストな選択はできる。そのためにも、今から話し合い、相談してみては?

葬儀の種類

スタンダードな葬儀 …「一般葬」「社葬」

家族や身内だけで見送る葬儀 … 「家族葬」「密葬」「一日葬」「直葬/火葬式」

他にも、友人葬やホテル葬、オリジナルの葬儀など様々

「奈良県葬祭業協同組合」の取り組み

 奈良県葬祭業協同組合では、組合員に向けた研修会を行っている。8月19日には「葬儀後のアフターフォロー・相続についての研修会」を実施。知識を深めることで葬儀を執り行う家族へ寄り添い、きめ細やかなケアの実現を目指している。

 近年、葬儀に対する価値観の多様化・簡略化がますます進んでいます。地域の専門業者として日頃から知識を習得し、多くの引き出しを持つことが重要と感じています。お客様によき提案を行い、1件1件丁寧に送り出す。葬儀終了後、満中陰までの段取りはもちろん、諸手続き全般、相続など様々な問題に対しアドバイスができる葬儀社を心がけ、皆さまに信頼しご満足いただけるよう努めてまいります。

/奈良県葬祭業協同組合 理事長 鈴木 勝士さん

【出典】奈良の情報誌「月刊yomiっこ」2019年11月号の記事を改編

家族葬を取り扱う施設

家族葬ホール ひかりの森(平群町)
セレモニーホール有宏社・セレモニーホール雅(大和高田市)
株式会社 公益社(奈良市)