奈良で輝くスーパーシニア[File no.1:火打餅づくりのお母さんたち]

人生100年時代。山があり谷もあれど、気力・体力が続く限りは元気に楽しく過ごしたい!
今回は奈良であらゆる分野において活躍するスーパーシニアさんたちに元気の秘訣を聞いてみた。
健康な人もそうでない人も必見、明日を元気に生きるヒントを見つけよう。

火打餅作り後はぱくぱく館へ/左から小泉東輝興さん、井本ハツヨさん、民辻栄子さん
民辻道子さん(左)と小泉東輝興さん

スーパーシニア File no.1

売り切れ御免の村名物を作り続けるお母さんたち

川上村高原地区に伝わる家庭の味「火打餅」と「かきもち」。
同村の名物としてお土産にも喜ばれる両商品を作り続けるのは同地区に暮らすお母さんたちだ。
井本ハツヨさん(89歳)を発起人に昭和62年から車庫を改装した小さな工房で火打餅づくりを始め、平成5年からは新たに設立した加工施設「ぱくぱく館」でかきもちを製造している。現在は井本さんをはじめ4人が切り盛りしている。

火打餅の担当は小泉東輝興さん(81歳)と民辻道子さん(77歳)。
早朝5時に工房に集まり、平日は1升から2升、休日や繁忙期には3升のもち米を蒸す。臼と杵で力強くつかれた餅は決まった重さに切り分け、一つひとつ手作業で火打ち石の形になるよう丁寧にあんこを包む。「昔は5〜6人でもっとたくさんの餅を作っていましたが、2人では3升ほどが精一杯。しかし無理せず自分たちができる範囲のことをやっているので、年を重ねても続けられています」と小泉さん。

餅作りが終わるとぱくぱく館へ移動。小泉さんに加えて井本さんと民辻栄子さん(74歳)の3人でかきもちを作る。
白餅、えび、青のりの三種類を小泉さんと栄子さんで揚げ、井本さんが袋に詰める。
井本さんは「何でも仕事があるというのはとてもありがたいこと。外に出て人と会って話すこともできるし、決まってやることがあると日々のリズムができるので健康に暮らせるのだと思います。またやりたいようにやってきたので、気持ちの面でも気楽にできていたのが良かったのかもしれませんね」と話した。

元気の秘訣は?

人と話すことです。ぱくぱく館に行く日は一緒に働いている人と、行かない日も電話で1日2時間ぐらいは誰かと身の回りのことや世間話をしています。あとは年を取ってあれができない、これができないと思わないこと。実は老人会の誘いも断っているんですが、これは私がまだ老人になったと思っていないからなんです(笑)。(井本さん)

ここで働く人は畑仕事に民宿やヘルパーなど、2つも3つも何かしら仕事を持っています。村に人が少ないが故にやることが多くて、忙しすぎて元気なのかもしれないです。(小泉さん)