〈奈良市〉訪日客の心を射抜く 古都奈良で「武道体験」ロート奈良鴻ノ池パークで

スポーツ文化ツーリズムアワード2023で表彰も
訪日客に人気の武道ツーリズムを古都奈良で

武士道の伝統に由来する日本の伝統文化「武道」。近年は世界的にも注目を集めており、2018年からはスポーツ庁が武道と観光を組み合わせた「武道ツーリズム」を提唱し、訪日外国人観光客に向けた取り組みが全国各地で行われています。
京都と並ぶ古都で人気の奈良県では、奈良公園からほど近いスポーツ拠点「ロート奈良鴻ノ池パーク」の弓道場で2023年から『Kyudo Experience』として外国人向けの弓道体験企画を開催しています。
体験は4月~6月、9月~11月の月・水・金曜に開催。道着袴に着替え高段者によるマンツーマン指導のもと、弓道の基礎や所作を学び、最終的に一人で的に向かって矢を射るまでを体験します。
奈良という歴史ある場所で本格的な武道を体験でき、日本の歴史や文化、日本人の美しさや精神性を知れるいい機会として、「スポーツ文化ツーリズムアワード2023」で武道ツーリズム賞も受賞しています。

取材に訪れたこの日はドイツとフランスから3人が参加しました。各日最大6人を受け入れており、これまでに48か国約470人が体験に訪れています。

弓道着に着替えたら、まずは射場内で黙想の時間。呼吸を整え、心を落ち着かせることから弓道体験は始まります。
続いて、弓を引く基本動作の確認。紙の資料や翻訳アプリなどを駆使しコミュニケーションを取りながら丁寧にレクチャーをしていきます。

何も持たずに一連の流れを確認したら、次は紐を持って、形ができたらゴム弓、本物の弓と進んでいきます。

皆さん飲み込みが早く、およそ1時間である程度形になってきました。先生方も段々と指導に熱がこもります。
筆者も弓道経験がありますが、高段者の先生からマンツーマンで手取り足取り指導してもらえることは基本ないことなので、実はかなり特別な体験。とても羨ましい…。
交流を兼ねたティーブレイクを挟み、いよいよ射場へ。まずは先生や普段から弓道場を利用している方々による実演から。
間近で見る本物の弓道を静かに見守る参加者の皆さん。スマートフォンを手に、様子を動画に収める方もいました。
入場から退場までひとつひとつ所作にならって的前へ。前半で教えてもらったことを確認しながら実際に的に向かって弓を引きます。
的は28m先。あてるのはそう簡単ではありませんが、先生方の指導のもと見事に的中した人も! 矢が刺さった的の前で記念写真を撮る姿もほほえましいですね♪

約3時間の体験が終了した後は修了証書が手渡され、全員で記念撮影。ドイツから参加したサム・バウマーさんは「難しかったけれど、丁寧に教えてもらえて、日本の文化を体験できて良かった」と感想を話しました。

参加者の中にはこれをきっかけに母国で弓道を始める人もいるとか。
体験企画の発起人である(一財)奈良市総合財団の松本孝雄さんは、「本物の武道を通じて奈良の良さや日本の文化、武道の精神性が持つ魅力を知ってもらいたいです。近く旧奈良監獄にもホテルができますし、近隣の宿泊施設などとも連携して、より多くの外国人に体験してもらえるような企画を考えたいと思っています」と展望しました。
発起人である(一財)奈良市総合財団の松本孝雄さん

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