〈奈良市〉昭和初期のお茶屋「梅鉢」で地焼き鰻を(鰻屋 梅鉢 菊水楼) 2025.7.15 やーさん 奈良の花街「ならまち元林院がんりいん」のお茶屋が 2025年7月「鰻屋 梅鉢 菊水楼」に 近鉄奈良駅から徒歩5分、興福寺のすぐそばに猿沢池。五重塔は修復工事に入っていて池からの景観はイマイチながら、亀も観光客も依然と変わりなく池の周りをぐるりと取り囲んでいるという奈良観光のメッカです。 そのすぐ西側一帯が元林院町、明治初期から花街となり、お茶屋16件、芸妓200人以上を抱える大規模な花街で、大正から昭和にかけて栄えました。 「梅鉢」はその全盛期だった昭和初期に芸舞妓が出入りするお茶屋として誕生し、時代を経て約100年ぶりの2025年7月、「鰻屋 梅鉢 菊水楼」として生まれ変わりました。 元林院町は、やはり興福寺境内の南向かいにある明治24年創業の老舗料亭「菊水楼」とも縁深く、初代当主の岡本卯三郎氏の時代から贔屓にしていたというお茶屋があります。かつては舞妓の見世(店)出しも菊水楼で行われるのが恒例となっていました。 江戸前の技を活かした地焼きうなぎ このたび、江戸前うなぎ屋で腕を磨いた職人が地焼き鰻屋「梅鉢」を開業しました。しっかり蒸しを入れるのが「江戸前うなぎ」ですが、「梅鉢」では蒸しを入れない地焼きです。 割き方が江戸前の背開きなのです。関西では商人文化の反映で腹を割って話そうという「腹開き」が主流ですが、関東では〝切腹〟を連想させるので縁起が悪いと「背開き」が多いといわれます。 店内で割いた新鮮な鰻を、炭火で脂を落とし過ぎることなくパリッとふっくら香ばしく焼き上げ、うなぎ本来の深い味に仕上げます。それが〝江戸前の技を活かした地焼き〟です。 看板商品は薬味にもこだわった「うなぎまぶし」 一押しは、焼きたてのうなぎと薬味にも拘った「うなぎまぶし」。 大ぶりの一尾が丸々載っています。貝割れ、ねぎ、茗荷、大葉、大和橘胡椒、山葵、だし醤油など、様々な薬味と一緒に味変を楽しみ、〆は出汁をかけて「うな茶」にしてサラサラッといただいてください。自家製デザートの甘味にもほっこりさせられます。 蒲焼きは、関東風のスッキリとしたタレで、こだわりの醤油と甘みを引き出す味醂に氷砂糖を加えた上品な味。地焼きでありながらスッキリとして甘すぎない仕上がりが売りです。またお米は、新潟県魚沼産コシヒカリ100%。提携農家により同店専用区画で栽培されたものだといいます。 梅鉢では、蒲焼きと白焼きの両方が楽しめるのもうれしいですね。 うなぎに合わせ、地元奈良の厳選地酒やワインも用意されているので、蒲焼きや白焼きと日本酒、または赤・白ワインでマリアージュを楽しんでみては。 『うなぎまぶし 蒲焼』 5,500円 『うなぎまぶし 白焼』5,500円 お茶屋「梅鉢」の雰囲気が感じられる空間で 改装にあたっては、昭和初期創業時のお茶屋梅鉢に復元することを目指したといい、既存の建具や柱を生かし、土壁等の補修を施して、新たな自然素材も効果的に取り込まれています。コの字型の建物と縁がぐるりと囲む中庭の緑とがしっとりとした風情を醸しています。 木のぬくもりを感じられる心地良い空間に配置する家具も、日本の美しい木材と伝統的な製法を結びつけた家具製造工房「維鶴木工」(奈良吉野)の手によるものですとか。吉野ヒノキを使った椅子やとテーブルのナチュラル感も楽しみながら、日本ならではの美味を味わって。 【MENU】 ※価格は税込 うなぎまぶし 蒲焼き・白焼き 各5,500円 うな重 4切 3,800円~ 白焼き重 4切 3,900円~ コース 5,800円~ 一品料理 600円~ うなぎまぶし 蒲焼うなぎまぶし 白焼