〈奈良市〉村上華子個展「実験室:もう一つの眺めのために」(8/22~) 2026.7.28 鮎 写真の歴史から失われた像を現代に再構築 奈良市のギャラリー「MOMENT」では、8月22日から、パリを拠点に活動するアーティスト、村上華子さんの個展「実験室:もう一つの眺めのために」を開催します。 村上さんは、写真の起源や、失われた、あるいは見ることのできないイメージへの関心を起点に、古典写真技法、人工知能(AI)、視線追跡技術、映像、インスタレーションなど、異なる時代の技術やメディアを横断しながら制作を続けてきました。 今展で村上さんが着目するのは、フランスの発明家ニセフォール・ニエプスによる、現存しない初期の写真です。 ニエプスは、現存する世界最古の写真として知られる《ル・グラの眺め》を制作する以前にも、複数の像を生み出していたとされています。 しかし、その多くは失われ、現在では、ニエプス自身が手紙や実験記録に書き残したわずかな記述だけが残されています。 Niépce書簡と19世紀紙の調査風景(Chalon-sur-Saône, 2025) 写真の発明から約200年を迎えるいま、今展では、そうした書簡や記録を手がかりに、かつて存在したかもしれない像を再び立ち上げることを試みます。 人工知能を用いて失われたイメージを生成、さらに石版石や金属板などの素材、光や薬品を用いる19世紀の写真技法によって、それらを物質的な像として再制作します。 村上さんは次のように述べています。 「それは単なる歴史の再現ではない。写真によって私たちは世界を認識し、過去を理解し、現在を記録し、未来を想像している。 その根底にある「像が生まれる瞬間」に立ち返ることは、新たな画像生成技術によってイメージの意味そのものが揺らいでいる現在、私たち自身がどのように世界を見ているのかを捉え直すひとつの契機となるだろう。 『実験室:もう一つの眺めのために』は、失われた写真を探す試みであると同時に、イメージの可能性の領野をあらためてひらく試みでもある」 村上華子さん