〈奈良市〉ならまちの伝統的な町家で四季のうつろいを楽しむ『奈良町にぎわいの家』 2023.8.24 鮎 ならまちのメインストリート「上街道」に面する『奈良町にぎわいの家』。大正期に建てられた伝統的な町家で、日本の四季を感じながら文化体験ができる観光交流施設です。 近代の自由な発想が生み出した骨董商の旧居 にぎわいの家は元々当地で骨董商を営んだ大隅家の住宅で、1913年から1917年にかけて建てられた主屋や離れなどが今に伝わっています。 主屋は道路側に表屋(商売のための空間)、少し奥に主体部を建て、その間を玄関で繋いだ「表屋造」が特長。壁面の格子がならまち伝統の町家らしくて良いですね! 表屋の土間を潜ると玄関の対面に小さな庭があります。ならまちの町家の庭には『伽藍石』という寺の礎石を模した石が置かれていることが多いそう。元興寺の旧境内に形成されたならまちの歴史を物語る庭石です。 写真左にあるのが伽藍石 玄関から奥に向かって、中の間(居住空間)→奥の間(客間)と続く主屋。中の間を通り抜けて奥へと向かう一般的な町家に対して、玄関から奥の間を直通する廊下を設けることで、居住空間を客人に見せない工夫が施されています。 奥の間からみせのま方向を向いて撮影しました。 廊下 通常、押入や床の間と同様の位置に設ける仏間が建物から張り出すように設けられているのも特長。江戸時代から続く伝統的な建て方にこだわらない、大正期の自由な気風がうかがえます。 金の壁に天井絵のある格天井と豪華な仏間。実は計画的ではなく建築中に考えながら建てられたとみられています。大量生産・高速化の社会になる前の時代の建築のあり方をよく示しているんだとか。 また非公開ではありますが、主体部2階部分にも座敷が設けられていて、そこからは周囲の町並みや興福寺南円堂が望めたそうな。 他に類を見ない自由な発想で建てられたためか、建物のあちこちに棟札・棟木銘があり、施主と大工の思い入れの強さもうかがえます。 写真映えする離れもイイネ! 主屋より前、1913年に建てられた離れへは渡り廊下を渡っていきます。数寄屋造りのおしゃれな渡り廊下から見える中庭には臼形のまん丸い庭石もありました。 外観や座敷等に円窓や花頭窓など意匠の特徴が見られます。円窓をシルエットに中庭を写すとオシャレな写真が撮れるかも? 季節の設えとイベントも楽しんで♪ 二十四節気の自然観を大切に、季節ごとに変わる置物や表具などにも注目。伝統ある空間の中で日本古来の四季の感覚を体感してみてください。 季節関係ないですが、僕は八咫烏の土偶がお気に入り。 また、つし二階や江戸時代から残る蔵など町家空間を利用して、作品展や教室・コンサートなど各種イベントも定期的に開催されています。 絵手紙や書道といった無料の体験コーナーも催されているので、気になる方は公式HPで開催情報をチェックしてみてください! 絵手紙体験で中村芳中の仔犬を描きました。上手にできてますかね?