〈奈良市〉SETRE日帰りツアー 第5回 Story Trip 2026.8.27 やーさん 奈良県・福住の氷室神社宮司を迎え、日本書紀と枕草子に記された 古代日本の食文化を味わう一日 「奉納氷×古代食×日本酒」 8月24日、ホテル「セトレならまち」で第5回目のStory Tripが開催されました。〝奈良を紐解き奈良を創る〟をコンセプトとする同ホテルは、奈良の歴史・自然・文化・食・芸術をハードとソフトの両面で体現していることで知られています。 その奈良の歴史が紡いできた数多くの物語を未来へつなぐ一環としてのイベントの一つがこのStory Tripです。今回は、奈良県・福住の氷室神社宮司である中村友厳氏を迎えて、日本書紀と枕草子に記された古代日本の食文化を味わい楽しむ企画が開催されました。 セトレならまち匠室 中庭で放し飼いの鶏さんたち 福住の氷室神社宮司・中村友厳氏の講話 「神道と日本人の心」と題し、氷室神社にまつわる歴史と氷の歴史 氷の神様を祀る氷室神社(天理市福住町1841)は、允恭天皇3年(414)創建の古社。 仁徳天皇の異母兄弟の額田大中彦が闘鶏(つげ)の国に狩りに来た際、氷室を見つけ、水酒に氷を浸して飲んだのがオンザロックの始まりであり、その氷を宮中に持ち帰ったのが献氷の始まりと話されました。 それらが判明したのは、平城京の長屋王邸跡(現ミ・ナーラ)から出土した木簡からです。奈良時代に天理市都祁(つげ)地域にあった「都祁氷室」の具体的なサイズや保存方法、都の長屋王邸宅までの運搬方法、その用途まで事細かに墨書されていたそうです。 氷室神社 中村友厳宮司 木簡レプリカを手に氷室の歴史を話す中村宮司 氷室神社の中村宮司と木簡の巨大レプリカ 神様、神社にまつわる言葉の意味や由来 宮司は「かしわで」の意味や「神社」と「神宮」の違いを説明。「ハレ(非日常)」の神事の直会(なおらい)後に、宮下(みやげ)ものを調理し皆で食べることから元気になると話し、宮下はその土地の産物だから「土産」となり、「いのり」は「まつり」へと変化してきたと続けられました。 また「おとづれ」という言葉は「音連れ」であり、日本人独特の感性は、季節の移り変わりを「音連れ」で感じられる心を持っているからだと。そしてその音による伝達方法が共感能力を高め、横のつながりを深め、細やかな気配りができ、「思いやり」を持つことができる日本人の「畏れ(おそれ)」という考え方を高めていったのではないかと説かれました。 茶道流のおもてなしの茶事から学べることは思いやりの心はホストもゲストも同じレベルが必要であり、思いやりはサービスではないという話、また「コップの水の話」を例に「こころを学ぶ」ことは世界の見方が変わるとくくられました。 ロビーでは辻利幸顧問によるホテル界隈の説明 田中のりこ支配人による開催挨拶 五感で味わう「いにしえのランチコース」。食前酒は「日本最古のかき氷」 「あてなるもの=削り氷(けずりひ)」に続き、古都奈良の前菜9種盛り合わせ 清少納言は「あてなるもの(上品で優美なもの)」中で、「削り氷(けずりひ)にあまづら入れて、新しき金椀(かなまり)に入れたる」と記しましたが、ランチの食前酒は「日本最古のかき氷」という趣向。 荒削りのかき氷にあまづら風シロップをかけ、さらに日本最古の酒母製法「菩提酛(ぼだいもと)」を使用した日本酒「鷹長」(油長酒造)を注いだものをいただき、皆さん「う~ん、おいしい♪」と喉を鳴らしていました。 あまづら風シロップの削り氷 削り氷にナイスコラボの『鷹長』 削り氷に水酒「鷹長」 運ばれた『檜箱に詰めた古都奈良の前菜9種盛り合わせ』は、「これぞ思いやり・おもてなしの心を具現化した盛り付け」と中村宮司に評されました。大和の旬の食材を彩りよく詰めた9品は、まず視覚で皆さんの心をつかみます。豆腐に添えられた「ひしお」やナスの大和大鉄砲大豆みそ、奈良漬と古代チーズの「蘇(そ)」、生姜を効かせたつゆの太素麺、曽爾米糀のポン酢鱧、ヤマトポークなど、奈良の古から現代までを一口ずつゆっくり賞味されました。 前菜9種詰め 日本酒やワインが揃うフリーラウンジに足を運びながら 温菜・主菜・ご飯・止椀までを堪能 続く温菜は『大和まなを練り込んだほうとう風 大和肉鶏と完熟トマトのパスタ仕立て』。ややヒスイ色を呈した太いパスタをほおばりながら皆さん、口々に「これは珍しい!」「おいしい!」と舌鼓。 『大和まなを練り込んだほうとう風 大和肉鶏と完熟トマトのパスタ仕立て』 『吉野鹿のローストと夏野菜の炭火焼き 醤油麹と大和橘胡椒』 主菜は『吉野鹿のローストと夏野菜の炭火焼き 醤油麹と大和橘胡椒』。「鹿のジビエ、クセもなくとってもやわらかくておいしい!」と、これも大満足の声があちこちのテーブルから。 皆さん、日本酒や生ビール、ワインにソフトドリンク類が揃うフリーラウンジに足を運んでは、美味をいただく至福の時を愉しまれます。 フリーラウンジ 日本酒コーナー フリーラウンジ 寺町仁冶氏による篠笛演奏も 参加者の一人に篠笛奏者の寺町仁冶氏がおられ、『童神』を演奏披露。客席を回りながら繊細で透明感のある音色を響かせ、場に興を持たせました。 篠笛奏者の寺町仁冶氏 篠笛演奏 〆のごはんは『古代米』。お赤飯のような色合いでふっくらモチモチとした食感を楽しみ、『大和大鉄砲白味噌のひらきなめこ汁』のふくよかな味に「満ち足りました」の笑顔で箸を置かれました。 古代米と『大和大鉄砲白味噌のひらきなめこ汁』 水菓子は、なんと『氷室神社 中村宮司特製チーズケーキ』。 宮司自ら氷をかいては振る舞うサービスも デザートは、中村宮司自らホテルで焼かれたチーズケーキでした。幼少期に母から習得されたレシピで作られたとか。添えられた中井農園さん(天理市)の苺ソースのピュアな味がおいしさを倍増。皆様別腹にしっかり収められたようです。 中村宮司手焼きのチーズケーキ 「おもてなし」は更に続きました。中村宮司がフリーラウンジのカウンター内に入り、自ら氷をかいて、ゲストにサービスされたのです。先の「鷹長」のほか、甘めからすっきり味の日本酒が置かれ、好みでそれらをかき氷にかけてはお代わりしていらっしゃるお客様たち。まるで古代の首長気分に浸られているようでした。 ちなみに、かき氷の氷は奈良県唯一の製氷会社である日乃出製氷さんの「大和氷室」というブランド氷でした。 中村宮司自ら「削り氷」サービス 削り氷に「鷹長」をトクトクと 食後は「発酵足浴」や「ビオヤード」で放し飼いの鶏を見に行く方など、44人の参加者は思い思いの時を過ごされました。「奈良の食材もですが、添えられた味噌やソースの隠し味がすばらしい」と同企画3度目の紳士。「この価格でこんな素晴らしい体験ができてうれしい。また来たい」と神戸から初めて来られた婦人。奈良の深掘りと美味満喫のツアー、皆様、次回の開催をしっかりチェックしてホテルを後にされました。 発酵足浴 ホテル中庭