〈奈良市〉苔庭の先にある、日本唯一の芸能の神「伎芸天」をまつる『秋篠寺』

年に一度のご開帳 秘仏「大元帥明王像」公開〈6/6〉

奈良県奈良市、平城京の西北に位置する「秋篠の里」とよばれる場所に建つ『秋篠寺(あきしのでら)』は、奈良時代最後の勅願寺といわれています。

勅願寺(ちょくがんじ)…天皇・上皇の発願により、国家鎮護・皇室繁栄などを祈願して創建された祈願寺のこと

天平宝亀7(776)年、光仁天皇(天智天皇の孫・桓武天皇の父)の勅願で建立、桓武天皇時代に伽藍が整備されました。平安末期の火災でほとんど焼失したものの、当時を偲ばせる土壇や礎石が今ものこります。

本堂

天候によって表情を変える「苔の寺」

秋篠寺は苔の寺としても有名で、境内に入ると参道の両脇に苔庭が広がっています。
梅雨の時期が間近に迫っていますが、苔と雨はとても相性が良く、水分を含んだ苔はキラキラとして、鮮やかな緑の絨毯が参拝に訪れた人を迎え入れてくれます。
梅雨のシーズンだけでなく、春夏秋冬の植物と苔との共演が楽しめます。

秋の苔庭
礎石

美しい苔庭を進んだ先には本堂(国宝)があり、堂内には『本尊薬師如来像(重文)』をはじめ、日光・月光菩薩像(共に重文)、十二神将像、不動明王像、地蔵菩薩像(重文)、帝釈天像(重文)、伎芸天像(重文)など25体の仏像が安置されています。いずれも間近で拝顔できます。

中でも、伎芸天像のちょっと首をかしげ、左肩を落として腰をひねった美しい姿が人気です。
国内で唯一伝わる伎芸天像で、音楽・舞踏・学術・文芸などをつかさどるギリシャ神話の女神に比して「東洋のミューズ」と評されて人気です。
著名な芸能人の参詣をはじめ、訪れる人が後を絶ちません。
どなたがモデルだったのかわかりませんが、いろいろ想像しながら拝観してみてください。

大元堂

大迫力の秘仏「大元帥明王(たいげんみょうおう)」がご開帳!

6月6日は年に一度の秘仏公開が行われます。
普段は見ることのできない「大元帥明王像(重文)」は、6本の腕をもつ2mを超える寄木造の像。怒りの表情で炎のように髪を逆立て、蛇を体に巻きつけた姿はとても迫力があります。
こちらは、普段拝観可能な本堂ではなく、大元堂に安置されています。
また、東門の近くには、大元帥明が現れたという「閼伽井(あかい)」という水を汲む井戸がある「香水閣」では、秘仏公開のこの日だけ門が開けられ、霊泉(神水)の振る舞いが行われます。

6月6日は、とても混み合い行列ができるので、お越しの際は十分時間の余裕を持ってご参拝ください!

基本情報 Basic Information
秋篠寺/あきしのでら
  • 住所: 奈良県奈良市秋篠町757
  • 拝観時間: 9:30~16:30
  • 拝観料: 大人(高校生以上)500円 ※6/6のみ1,000円
  • アクセス: 近鉄大和西大寺駅(北口)から押熊・平城中山行バス約6分「秋篠寺」下車すぐ
  • 駐車場: あり
  • TEL: 0742-45-4600

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