〈奈良市〉ならまちに架かる『嶋嘉橋』は築250年超えの歴史ある石橋だった! 2023.6.21 鮎 猿沢池からならまちへと向かう小さな石橋 ならまちからお伊勢さんへと向かう伊勢街道(上街道[上つ道])の起点にある『嶋嘉橋』は、猿沢池の南を流れる率川(いさがわ ※現在は暗渠)に架かる小さな橋。 アスファルトで舗装されていてわかりにくいですが、れっきとした石橋で両脇には1920年に奉納された春日大社の常夜燈籠が立っています。 橋を下から見てみると… こうやって下から見ると、風情のある石橋だな~と思いますよね。またこの上を乗用車が普通に通るんですが、ここから見てると “折れないかな…” とちょっと心配になります(笑) 文字が彫られた橋脚。暗渠にした際に少し埋もれてしまいましたが、右から「明和七庚寅年五月吉日」「椿井町施主嶋屋嘉兵衛」と刻まれています。 明和7年は1770年。なんと杉田玄白が『解体新書』を刊行する(1775年)前からずっと架かっているということです。都度修理されてきたとはいえ凄すぎる…! また施主は椿井町に住む嶋屋嘉兵衛さん。お奉行さんの公設ではなく、一般人(とはいえお金持ちでしょう)が私設した橋なんですね。250年も名を残して、嘉兵衛さんも嬉しいでしょうね♪ 石仏・石塔を祀る率川地蔵尊 また橋の東側には『率川地蔵尊(尾花谷地蔵尊とも)』が祀られています。舟形に集められた石仏や石塔は廃仏毀釈などによって率川に捨てられてしまったものだそうです。 河川工事によって掘り起こされ、現在はこうして身を寄せ合って橋を通る人々の安全を願ってくれています。嶋嘉橋を渡ってならまちへ行かれる際は一度手を合わせて一日の無事を祈りましょう。