編集長のメッセージ(11月)

10月号のアゼルバイジャンに続き今回はアルメニアの話。社会情勢視察で南コーカサス3か国を旅した。隣同士のアゼルバイジャンとアルメニアは30年以上の紛争を終え、和平に向けて動き出しているが国境はいまだ閉鎖されている。
アルメニアは四国ほどの国土に約3百万人が暮らす小国。301年に世界で初めてキリスト教を国教とし幾度も侵略や紛争を経験してきた。現地に17年暮らす日本人、長谷川有彦さんにお会いした。彼が同国を初めて訪れたのは26年前。ソ連崩壊直後、電気もガスも1日2~3時間しか使えない中、日本語を学ぶ学生たちに心を動かされた。その後、日本語教師として再びアルメニアへ。教え子だったリリットさんと結婚し、2人の子どもにも恵まれた。「アルメニアは本当に素晴らしい国です。人が温かい」
しかし6年前の紛争では多くの犠牲者が出て、友人や知人も亡くなった。妻のリリットさんは、「国同士のことであり、アゼルバイジャン人を恨んでいるわけではない」と。長谷川さんの言葉も心に残った。「戦争はどちらにも国益があり正義がある。互いに自らの正義のために戦っているのだから単純に善悪では語れない」
印象的だったのが、祖国への思いの強さだ。紛争時には母国のために帰国して志願兵となる海外在住者もいるという。キリスト教国としての歴史、独自の文字や文化、幾度もの苦難。それらがアルメニア人の強いアイデンティティを育んだのだろう。翻って、私たち日本人はどうだろう。国を愛するとは何なのか。自分たちの歴史や文化に誇りを持つとはどういうことなのか。そんなことを考えさせられた。

よみっこ編集長 朝廣 佳子

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