若いお坊さんへのリレーインタビュー
「Boze数珠つなぎ」
#264
Profile
浄土宗 法輪山 興善寺 副住職
福井 天斗 師
ふくい てんと
2000年奈良市生まれ。25歳。
佛教大学仏教学科卒業。2021年加行満行。
2022年より蓮台寺副住職。
H1法話グランプリ2025実行委員会実行委員
佛教大学仏教学科卒業。2021年加行満行。
2022年より蓮台寺副住職。
H1法話グランプリ2025実行委員会実行委員
村の人たちにご恩返しがしたいです
奈良市北之庄町にある浄土宗蓮台寺で副住職をしています。私の前にこの数珠つなぎに出ていた森田康仁さんとはとても親しくさせていただいております。この度、12月6日に開催されるＨ１法話グランプリ実行委員会の委員も、康仁さんと一緒にさせていただいております。「もう一度会いたいお坊さん」を選ぶ大会です。若い僧侶の熱い法話をぜひ聞きにいらしてください。
この蓮台寺は父である住職が39世、私で40代目になります。私は3人兄弟の二男ですが、兄も弟もまったく畑違いの仕事をしており、私だけ僧侶になりました。
小さい頃からお寺が大好きでした。ここは北之庄村と呼ばれていて、今でも村の人たち自体がとても仲がいいです。私が子どもの頃は、誰かが亡くなると近所の人たちが毎日お寺に集まってお経をあげていました。悲しいことなのですが、みんなが集まるのがうれしかったのを覚えています。
近所の人たちには本当にかわいがってもらいました。近所の人たちに育てていただいたといっても過言ではありません。そのご恩をなんとか返したい、私が檀家の皆さんを最期までちゃんと看取りたい、それゆえ僧侶になることを決めました。
もし僧侶になっていなかったら、今頃「あのおばあちゃん、どうしてるかな」とそわそわし、「え、あそこのおっちゃん亡くなったんや」と後で知って悲しい思いをしていたことと思います。
なので、今お坊さんになって月参りをさせていただくのがとてもうれしいです。毎日住職と二人で手分けして、檀家さんを回ります。他愛もない世間話をしたり、おばあちゃんの言うことを延々と聞いたり、その時間がとても愛おしいです。
小さい頃からたまに法要に出たり、父について回ったりしておりましたが、高校まではひたすら水泳に打ち込みました。大学は佛教大学に入り、１年生の時に「学寮」と言って大本山金戒光明寺の寮に入り、朝お勤めをしてから大学に通う生活をしました。僧侶になるための第一の修行でした。修行中は当然スマホは使用禁止、土日も朝のお勤めとして読経や掃除がありました。夜は21時が門限で、21時から22時までが勉強の時間です。新入生歓迎会などもなく、夜遊びもできず、周りがうらやましいなと思いましたが、2年生からは自由となり、家から通いました。3年生の12月に加行を受けて、晴れて僧侶になりました。
一方で、大学2年の頃からアルバイトもしていました。最初はホテルでホールから厨房の手伝いまで何でもやりました。3年生からは奈良市内の居酒屋で働き始め、実は今でも続いています。といっても週に1、2日程度のペースですが、店長がぜひと言ってくれて自由に働かせていただいています。
観光客も結構多い店で、僧侶だというと、「さすが奈良ですね」とびっくりされて、あれこれ質問攻めに遭います。中には身の上相談や、このところ悪いことが続くから拝んでほしいとか、幽霊が見えるようになったなんてことまで、本当にいろいろ話しに来られます。
そういう日常を送っていると、世間では仏教離れとか言われますが、皆さん「仏さんを大事にせなあかんな」とか「親に感謝やな」とか言われるのを聞くと、案外お寺にも仏教にも興味があるし、そうしたいと思っているのではと感じます。
実際、若い人も御朱印集めに回っているし、無理にお寺に来てと言わなくても、自然体でいいような気がします。
みんないつもどこか無理をして、見栄を張って疲れているように思います。
私は思い立ったが吉日のごとく、やろうと思うとすぐに行動するタイプです。やらなければならないことはさっさと済ませて自分のしたいことをするので、悩みがないです。かといって気ままに生きているわけではないです。
私の大きな目標は、お寺がみんなの日常になったらいいなということです。いつでもここに来て心を休めてもらって元気に帰ってもらう場所にしたいです。
趣味はキャンプです。自然の中に身を置くと、自分の細胞が喜びます。私がいつも元気だと周りにたくさんの人が集まってくれて、それがまた私の喜びでもあります。これからも元気と喜びを周りに届けていきたいと思います。
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Ｈ１法話グランプリ
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令和7年12月6日（土）
会場：なら100年会館
チケット申し込みや詳細はこちら
聞き手：朝廣佳子
