若いお坊さんへのリレーインタビュー
「Boze数珠つなぎ」
#269
Profile
真言宗豊山派総本山 長谷寺
主事
奥野 善之 師
おくの ぜんし
1974年大阪市生まれ。
高野山大学卒業。加行満行。地元の企業に勤務し、その後、種智院大学に編入。
名張市蓮花寺の副住職となる。
2012年長谷寺に勤務。
法務部(本堂)、財務部を経て現在教務部。
高野山大学卒業。加行満行。地元の企業に勤務し、その後、種智院大学に編入。
名張市蓮花寺の副住職となる。
2012年長谷寺に勤務。
法務部(本堂)、財務部を経て現在教務部。
自分で選んだ道ならそれが正解
桜井の長谷寺に勤めて14年になります。大阪生まれの伊賀育ち、父がご縁あって会社員から僧侶になり、中学生の頃から名張市大屋戸の蓮花寺で生活することになりました。突然環境が変わって、当時はずいぶん戸惑いました。
地元の高校を卒業後、僧侶の資格は取ろうと高野山大学へ。ただ、卒業後は企業に就職し、そのまま会社員として生きていくのだろうと思っていました。転機は30歳を前にした頃でした。父が長谷寺の執事になり、自坊のことまで手が回らなくなりました。「これもタイミングかもしれない」と僧侶になる決意をし退職。種智院大学に編入し、大学に行きながら自坊を守るようになりました。
とはいえ僧侶としての現場は初めて。近隣のお寺の方や総代さんたちにも教えていただきながら勤めてきました。
サラリーマンから僧侶になって変わったのは、人との向き合い方です。企業ではある程度決められた仕事をこなしていけばよかった。でも僧侶は、その時、その相手によって向き合い方が違います。こちらが柔軟でなければ応えられない。考え方を広く持っておかなければならないと感じるようになりました。
長谷寺は仁王門をくぐると登り廊が続き、途中で二度直角に曲がります。その角を曲がるたび、観音様に近づくたびに空気が変わるんです。そして登りきると大観音様がお出迎えくださる、それが長谷寺の魅力だと思います。
大観音様の前で涙を流される方もいらっしゃいます。何百年もの間、人々の悩みを聞いてこられた観音様です。ゆるぎない強さと、どんな心も受け入れてくださる慈悲のお心が人々の心に響くのでしょう。
毎日のようにお参りされる方もいます。本堂勤務の頃は、「精が出ますね」とお声掛けすると、悩みを話してくださることがありました。そんな時は、ただじっと聞かせていただきます。話し終えるとすっきりした表情で帰っていかれる。言葉にするうちに、ご自身で心の整理をされるのでしょう。大観音様に心の内を話して帰られる方も多いのだと思います。
僧侶として人と向き合う中で、近年気になっていることがあります。「墓じまいをしたい」という方が増えたと感じること。気になるのは、子どもや親戚に相談せず、自分の代で墓を畳もうとされる方が少なくないことです。「子どもに迷惑をかけたくない」と言われ、「何が迷惑なのですか」と尋ねると、「お墓の掃除をさせるのが申し訳ない」と。
でもお墓の掃除をすることがそんなに迷惑なことでしょうか。代々、先祖から受け継がれてきたお墓です。自分一人で決めず、せめて子どもさんや親戚と話をして、決断の前にもう一度考えていただけたらと思っています。
私は今、教務部で修行僧の指導やサポートもしております。私自身、高野山で百日間の加行を受けましたが、真冬にはマイナス10℃になり、まぶた、耳、頬、鼻の頭、唇までしもやけになりました。つらかったですが、辞めようとは思いませんでした。仏様をもてなす作法を何度も繰り返し、体に覚えさせていく。それだけに集中できるのは、むしろありがたかったです。
私は一般企業に勤めてお寺の世界に入りました。お寺の世界のみで純粋に育ってこられた方は、生き方に躊躇がないように見えてうらやましく感じたこともあります。けれど今は、自分が歩いてきた人生で良かったと思っています。会社員だった時間も、僧侶になることを迷った時間も無駄ではなかった。誰でも自分で決めて歩んだ道なら、それはどんな道であっても「正解」なのではないでしょうか。
そして長谷寺は今年、開山1300年という大きな節目を迎えています。川俣海淳能化は「おもしろそうなことをやろう、できることはすべてやろう」と、とてもアクティブ。各部署から様々なアイデアが生まれ、伽藍の修繕も急ピッチで進んでいます。
近年は「あじさい回廊」や「菊回廊」も人気を集め、11月には開山1300年記念法要や五重塔の落慶法要も予定されています。
一度だけではなく、何度もお参りに来たくなる。そして来るたびに何かを感じ、心を動かして帰っていただける。長谷寺の一員として、そんなお寺を目指していきたいと思っています。
長谷寺 開山1300年関連行事
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10月10日~12月6日|本堂特別拝観 ※入山料+1,000円
<ご本尊大観音様のお足元で、観音様に触れてお参りができます> - 11月7日|秋の記念法要 五重塔落慶法要
- 10月9日~12月6日|菊回廊&もみじまつり(約500鉢の菊が嵐の坂を飾ります)
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出開帳(観音様の16mの大画軸を前に法要し、声明を披露/各公演とも、詳細は会場に問い合わせを)
岡山公演 10月31日【岡山イオンモール】
茨城公演 11月25日【つくば国際会議場】
伊賀公演 12月6日【伊賀市文化会館】 -
ご寄進
・五重塔檜皮葺きの檜皮 1枚1,000円で、檜皮のお守り贈呈
・開山1300年祭ご寄進
50,000円以上で、現代語訳『長谷寺縁起絵巻』(非売品)贈呈
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特別御朱印 1,200円(~2027年3月31日)
大和大納言 豊臣秀長公(秀長公は長谷寺復興に力を尽くされました)
聞き手:朝廣佳子

