第3回山寺おしょうのお悩み相談|長女が夫の暴力に遭っています

【お悩み】長女が夫の暴力に遭っています

長女が長年、婿(夫)の家庭内暴力に遭っております。婿は毎日一日中お酒を飲み仕事もやめてしまいました。私たち親は何度もお金を出して娘を助けてきましたが、娘は殴られて入院を繰り返しています。どうしたら娘は助かるのか、あの婿と一日でも早く別れさせてください。

(伊賀市 U、85歳)

意識を向けて、よい因縁に変えましょう

仏教でもこういった悩みごとは昔からあるそうで、たいていの人は今起きていることを見て「どうしよう」と悩むだけで何もせず、そのことに反発したり悪いことだと責め立てたりして、原因がどこにあるのか考えたり、相手を理解しようと努力をしたりせずに発言や行動をすることが多いようです。それでは問題の解決になりません。元来、人の感情を変えること、特に恋愛感情などはいくら神仏の力でもすぐに変えるのは難しいようです。

そんな時ほど、その原因を考え、変わるように願い祈るとその力が自然と伝わり、悪い原因は変化を起こし、良い原因となり時間をかけて少しずつ良い変化を起こしていくのです。そのことをお釈迦様は因縁と言ってお話しています。

因とは原因、縁とは環境や他人の行い、周りとの関わりです。自分の命は両親、さらにご先祖さまが原因です。今でいう遺伝子です。そこを良くするには意識を向けることです。

お仏壇やお墓に手を合わせたり、年忌や法事をして先祖様のお話をしたり、お坊さんにお経を唱えてもらったり、そうして因を良くする行動を起こすと心が変わり、そこから出てくる結果が少しずつ良い因縁を生むのです。実際に父が酒乱で困っている方に、ご先祖様でお酒好きな人の名前を塔婆に書いて毎週拝んでいると、そのお父さんはお酒で暴れることなく寝るようになったそうです。

縁は環境にも問題が多いようです。今の世の中は裕福で便利すぎるのです。子どものためにとすぐにお金や物を与えてしまう、一度甘えてしまうと『前はお金くれたのに今度はくれない』と不満を抱くようになります。最初に心を鬼にして『自分で何とかしなさい』と教えたならばきっと2度目の不満は抱かなかったでしょう。

昔から「若い時は苦労を買ってでもしなさい」と言われたように、甘えさせることが本当に良い環境であるのかどうかよく考えてください。本当に苦しいのならばその環境から一度離れてみるのも一つの方法です。そして、強い心で行動することです。

昔の人たちは、因縁を良くする方法をたくさん残しておられます。地鎮祭やお祓いは土地の因縁を良くする方法。お墓参りや供養は先祖様の因縁を良くする方法。初詣や厄除けは一年間その人の因縁を良くする方法。年忌や法事は家族の因縁を良くする方法。地域の神様やお地蔵様のお祭りは地域の因縁を良くする方法と、古来の習慣はすべて因縁を良くするとともに、悪い心を起こさない方法としても大切です。

そして自分では子どもに直接言えないことや厳しい言葉も、親類や近所の人を通して伝えてもらうことにより良い環境が生まれるのです。それが良縁です。

苦しい時ほど儀式やコミュニケーションを増やし、自分で何とかしようと思わず、ひどい時は警察、行政に相談したり神仏に助けてもらったりすることも必要です。そうして、子どもたちに良い因縁を残す努力もしていきましょう。

回答者

大塚 知明 師

真言宗醍醐派妙法寺(大師山寺)住職
当山派修験大先達

ならどっとFM78.4MHzにて「山寺おしょうのラジオ法話」を放送中!
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