〈奈良市〉奈良でインドをまるごと楽しむ「インド日本祭り」開催

菩提遷那ゆかりの大安寺で
『INDIA JAPAN YATRA(インディア・ジャパン・ヤットラ)』

奈良市の大安寺で9月30日、INDIA JAPAN YATRAが開催されました。主催は、NPO法人インド日本友の会(クンナ・ダッシュ理事長)。北、東、南の古典舞踊やボリウッドダンスの披露、ヨガ体験などが行われ、境内ではインドのスイーツやドリンク、食品・雑貨などの販売も行われました。
100人収容の獅子吼殿とその回廊に設けられた予備席まで満杯になる盛況ぶりで、来場者は、手足に神への敬意を表す化粧と華麗な衣裳をまとって、手のしぐさや目の動き、表情で豊かに物語を表現するインド4大古典舞踊に見入っていました。

大仏開眼導師・菩提僊那が住んだ大安寺で

大安寺は、東大寺の大仏開眼で導師を務めたインドの僧侶・菩提僊那(ぼだいせんな)が住んだ寺として知られます。貫主の河野良文師は、奈良日独協会会長や奈良市国際交流会会長を務めておられ、これまでにも幾度かインドとの交流を図る催しが開かれてきた寺院です。

大安寺 河野良文 貫主

ヒンドゥー教の第1柱・ガネーシャへの祝唄で開会

オープニングは、在大阪・神戸インド総領事館の館長息女でVasundhara Raturiさんによるガネーシャへの祝唄『Ganesh Vandhna』、続いて主催のクンナ・ダッシュさんの「みんな、インドを楽しんでね」の言葉で始まり、河野良文貫主、来賓のインド総領事館領事Anil Dutt Raturi氏、奈良県議の中川崇氏、在日本印度商業会議所会頭のRam Kalani氏らによるお祝いの言葉がありました。

河野良文師は、10年前に菩提遷那1250年法要を執り行った時、東大寺までの行列の菩提遷那役をクンナさんに依頼したエピソードなどを披露し、今回の催しもご縁があって実現したと話されました。
Vasundhara Raturiさん
クンナ・ダッシュさん

北インド古典舞踊カタック

インド舞踊のトップは、奈良市内でインド舞踊カタックスタジオ「Anjuri」を運営するビンドゥ・ワスティカ(BINDU SWASTIK)さんとその門下生さんたちによる、北インド古典舞踊カタックでした。クリシュナ神への絶対的献身を詠った曲や讃美歌、手の動きで表現する『HASTAK』、舞台への感謝の花を捧げる曲などが披露されました。
ヒンドゥーの神にささげる祈りの舞としての要素を持ち、美しい旋回、静と動のメリハリある動き、指先の表現「ムドラ(印)」、素足で刻む綿密なステップと鈴の音などが印象的でした。

東インド古典舞踊「オリッシー」

次の舞踊は大阪のOdissi Dance Centre ODCの村上幸子さんとPadminii Kulamの堀谷知子さんによる東インド古典舞踊「オリッシー」でした。オリッシーは、オディッシャ州に伝わる舞踊で、抒情的かつ優美な魅力にあふれ、ヒンドゥー寺院の彫刻を模したポーズや動作が多く、まさに「動く彫刻」と呼ばれる踊りでした。

南インド古典舞踊・パラタナティヤム&ボリウッドダンス 

マユリインド舞踊企画を主宰するマユリ・ユキコさんとその教室生ら6人による南インド古典舞踊・パラタナティヤム。インド四大古典舞踊の中で最も古いとされる奉納舞踊です。ヒンドゥー教寺院の神像や石窟に穿たれたレリーフの様態を基に構築された踊りは、直線的でダイナミックさが特徴です。

ボリウッドダンスは、インド映画に必ず出てくるパワフルなダンス。農民が神に感謝して踊ったのが起源。神話を表現する踊りでヒンドゥー教や仏教に由来する手の動きが特徴で、「手の動きは、“…ですよ”を表現しています」とレクチャー。

第2部 来賓挨拶に続いてショートYOGA体験

関西日印文化協会副会長で大阪外大の名誉教授の溝上富夫氏、国際ヨガDAY関西実行委員の大麻豊氏、公益財団法人日印協会顧問の勝田友治氏、せんとくんの生みの親で奈良県立美術館館長の籔内佐斗司氏らの挨拶後、Abundance代表のPURVI JHAVERIさんによるショートYOGA体験が行われました。椅子に腰掛けたまま、首や手足を動かし、免疫力や気を高める呼吸法と精神をクリアにする瞑想法(マインドフルネス)を教わりました。

関西日印文化協会副会長・日印関係アドバイザー 磯貝富夫氏による「日印関係の将来について」

当日の司会を務めたインド在住の磯貝富夫氏。長年日印の発展に貢献する人材育成、日印の大学間の連携、交換留学、ビジネスマッチング、文化交流などに努められてきた。その実経験からインドは今後の日本になくてはならない国であり、日本を救えるのはインドしかない」と強調。その理由は、1に人口増加中のインドと超高齢化社会となり人口減少の日本、2に仏教の国としてのつながりと話し、同じ宗教に根差している国だからより強い信頼関係が築けると。

国民栄誉賞受賞の南インド古典舞踊家 ミーナクシ チタランジャン

最後の舞台を飾ったのはインド・チェンナイ在住の舞踏家で、インド国民栄誉賞パドマ・シュリーを受賞したインド古典舞踊家のMEENAKASHI CHITHARANJAN(ミーナクシ チタランジャン)さんと弟子のADITHI SRIRAM(アディティ スリラム)さん。ダイナミックで力強いステップや目と手のジェスチャーで喜怒哀楽を情熱的に表現しました。演舞後、「3度目の来日公演に感謝します。またその都度、伝統文化を守り続けながら素晴らしく発展している日本に感動します」と話しました。

エキゾチックで表情豊かなインド4州の踊りに感動

大阪から来た女性は「インド舞踊は初めてですが、衣裳と動きに感動しました」と感想を述べ、奈良市の女性は「ニューデリーに住んでいたことがあり、懐かしくて来ました。大安寺であったことが良かった」と話しました。桜井から来た男性は「インド哲学に惹かれており、このイベント情報も向こうから自然に近づいてきた」と。

1時間近く押した終演後も、そそくさと帰路に着く人は少なく、境内で踊り手も来賓も観客も一緒になって、記念撮影を楽しんだり、談笑したりしているのが印象的でした。

インドをもっと知ってほしいとクンナ・ダッシュ代表

奈良市内で交流拠点「インド日本交流センター奈良」を運営、人材育成や文化交流などを通じて日印の架け橋となる活動を続けているクンナ・ダッシュさん。「インドの僧・菩提遷那ゆかりの寺でのお祭りでインドと日本のつながりの歴史を思い出し、一層深まればと願って企画しました。予想を超えた来場者の数でうれしい。来年からも、より大きな輪を繋げていきたい」と話しました。
主催:NPO法人インド日本友の会
共催:関西日印文化協会
後援:公益財団法人 日印協会
基本情報 Basic Information
大安寺/だいあんじ
  • 住所: 奈良市大安寺2-18-1
  • 拝観時間: 9:00〜17:00(受付は16:00まで)
  • 拝観料: 大人400円、高校生300円、中学生200円、小学生以下100円
  • TEL: 0742-61-6312
  • HP: http://www.daianji.or.jp/

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