〈葛城市〉古代の伝説多き交通の神様『長尾神社』

街道の交差点に鎮まる式内大社

『延喜式』に記される式内大社で、葛城市長尾・竹内・木戸・尺土・八川の5か村の総社です。かつて同社の神宮寺であった放光寺に残る『放光寺古今縁起』(1302)をはじめ、『大和志』『大和志料』によると、伊勢神宮と同じ天照大神・豊受大神をご祭神として祀ります。

また、正徳3年(1713)、某人物の説によると、水光姫命(みひかひめのみこと)と白雲別命(しらくもわけのみこと)も祀っているそう。水光姫命は神武天皇が吉野川上へ巡幸した際に光る井戸から現れ、後に吉野首(おびと)となった女神で、白雲別命はその父神にあたります。

蛇にまつわる伝説が数多く残る

長尾神社には、“昔、大和に大きな蛇が棲み、三輪山を七回り半に取り巻き、その尾は長尾一帯まで届いていた。ナガモノ(蛇)を祀りその最後尾であることからナガモノの尾、すなわち「長尾」と名が与えられた”という言い伝えが残ります。

このことから大神神社が蛇の頭で、長尾神社はその尾にあたるといわれており、二社詣をすると種々のご利益があるとされています。

また龍王宮(大和高田市)が大蛇の胴体で、大神神社−龍王宮−長尾神社の三社が大蛇の頭・胴・尾、の化身であるという伝承もあり、三輪明神と龍王宮の拝殿や本殿が西を向き、長尾神社の本殿が東向きで向き合っているのはそのためだといわれています。

このほか、『蛇婿入り』の民話や、大和盆地の水争いの伝説など、蛇が登場あるいは蛇神にまつわる伝説が数多く残ります。

御守り(巳年根付け)500円
御守り(金運・開運)1,000円

日本最古の官道「竹内街道」や横大路と長尾街道が交差する交通の要衝に鎮座することから、交通安全・旅行安全の神様としても信仰される同社。境内入り口には篤志家の方が旅などに出かけても無事かえるように、との願いから奉納された「なで蛙」の石像があります。

またこの交差点は古くから「當麻衝(たぎまのちまた)」と呼ばれ、壬申の乱(672年)では勝負を決する重要な戦いが行われた場所でもあります。この時、この地の豪族・長尾直真墨(ながおのあたいますみ)が大海人皇子軍として戦い、近江の大友皇子軍を退けたことから勝負の神様として必勝祈願や合格祈願に訪れる人もいるとか。

ちなみに、同社は長尾直真墨をはじめとする長尾直一族が祖神を祀ったとも言われており、「長尾」姓発祥の地の一つにもなっていますよ。

基本情報 Basic Information
長尾神社/ながおじんじゃ
  • 住所: 葛城市長尾471
  • TEL: 0745-48-3018

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