編集長のメッセージ(4月)

忘れっぽい人ほど新しいチャレンジをしている

年を取るから仕方ないとはわかっているが、年のせいではないのではと思うほど、私は本当に忘れっぽい。せっかく読んだ本の内容もすぐ忘れるし、何か思いついてもメモしていなければすぐ忘れる。要点だけメモしても後で見ると、「これって何のことだったっけ」と思う始末。

記憶力を高めるためにイチョウの葉エキスを飲んでみたが、それでよくなる兆しもない。がっかりした毎日を送っている最中、ある雑誌の内容で目の前が急に開けた。
脳神経外科の臨床と研究を長年行い、多数の論文を出してきた東千葉メディカルセンター長の岩立康男氏によると、記憶力は人によって差はないという。脳内のイメージは限られた空間の屋根裏倉庫みたいなもので、新しく情報を入れるには、古くて不要な記憶を捨てなければならないとあった。むしろ、脳寿命を延ばすためにどんどん忘れなさいとあった。
「忘れっぽい人ほど、新しいチャレンジをしているということ。また脳機能が維持されているともいえる」とは、なんて勇気づけられる言葉だろう。
古い記憶を消す方法だが、新しい情報に接してワクワクする、情動が高まるような何かに出合った時、脳は記憶を壊す「ラックワン」というたんぱく質を活性化させ、積極的に古い記憶を消していくシステムがあるということだ。
どうしても覚えておきたい時は、意味を理解して覚える努力をすると定着しやすいと。忘れることを気にせず、日々ワクワクすることを探すことが脳を活性化させるとは、なんと楽しいことだろう。
言葉一つで気持ちが変わるなんて、単純な私。

よみっこ編集長 朝廣 佳子

戻る