
先日、30歳の知人が結婚した。夫の姓に変えたが仕事上は旧姓を使うという。だが今回姓を変えることでの手続きが煩雑過ぎて疲れたとこぼした。
頭に浮かぶのが今議論されている夫婦別性問題。ご存じの通り、現行は戸籍上、夫婦はどちらかの姓を名乗ることが定められており、別々だと内縁関係だ。世論も後押しして、夫婦別性で構わないと法律上で決めてはどうかという議論だ。もちろん相手の名字に変えてもいいし変えなくてもいい、選択制にしようというのだ。
私は考え方が古いのかもしれないが、夫婦別姓を法律で定めることにまだまだ課題が多いように思う。仕事上面倒というなら、彼女のように会社では旧姓を使用すればいいのではないか。
そんなことを思っていた矢先に、友人の娘さんが入籍することになった。それは喜ばしいと思ったが、どうやらそうでもないようだ。友人は離婚して実家の姓に戻っている。娘さんも友人と同じ姓に変わっている。だが今回の結婚に関して、友人はお相手に大反対しており、親戚の縁組を結びたくないという。そして娘さんに、別れた夫の姓に変えて結婚するなら構わないというか、勝手にすればいいというか、そんな形になって、娘さんは父親の姓にこのたび変更し、先方と縁組をすることになった。これで友人は法律上、娘の相手と関わり合いがないということになるらしい。戸籍を別にしようと血縁者は血縁者なので、何かややこしいことにならなければいいがと懸念する。
今後法律上夫婦別姓が認められると、たちまち子どもたちはどっちの姓を名乗るのか、それでまた親がもめはしないか。さらには家族の一体感や先祖代々日本が大切にしてきた家制度が薄れていくことにもなる。
要望ばかりが独り歩きして、家族や先祖など自分が支えられてきた人たちのことが願わくばおざなりにならないようにと思う。
よみっこ編集長 朝廣 佳子