
ブルーインパルスのファンである。と言っても追っかけをするわけでもないのだが、以前、ブルーインパルスの本拠地である航空自衛隊松島基地を見学して以来、ファンになった。
先日の万博での展示飛行にもチケットはないが行ってみた。するとチケットを持っていない方はこちらまでと誘導された。これが本当に遠い。それなのに杖をつく人や車椅子の人、高齢者、小さな子どもまで酷暑の中、皆懸命に歩いている。結局夢洲会場から歩くこと1.4kmの大阪市が用意しているという広大な空き地に到着。自動販売機も何もないのだが、皆さんちゃんと椅子や敷マットを持参、中にはクーラーボックスまで運んできたつわものもいた。
飛行予定時間までまだ2時間もある。38度近い炎天下で耐えられるだろうか。アスファルトの敷地は人で埋まり、皆、それぞれの日傘の下でじっと時を過ごしている。だが誰もお酒を飲んだり騒いだりする人はいない。これがブルーに対する礼儀だろうか。
そんな我慢の時を過ごしてやっとその時がきた。「あっ、来た」との誰かの声に皆が一斉に反応し、そっちへスマホを向けるが何も見えない。裸眼かスマホか迷っているうちにあっというまに飛んできた。
スモークで描く大きな丸、ハート、5つの輪。体制を立て直しては、いろいろなパフォーマンスを見せてくれた。特に5機がくっつきそうなほどのすれすれ飛行は圧巻で、涙が出そうだった。
ブルーインパルスは危険と隣り合わせのため、過去に墜落事故をしたことが何度もある。松島基地から出ていけと周辺住民から言われたこともあったという。事故のたびに活動を自粛し、課題解決に向かって動き、命がけのショーであるその灯を消さないようにしてきた。その歴史のお陰で今がある。
夢中で撮った写真はどれもイマイチだったが、共に待った皆と見上げた空は格別だった。
よみっこ編集長 朝廣 佳子