編集長のメッセージ(10月)

8月の終わりに南アフリカ共和国と周辺国に社会情勢視察団として参加した。
アフリカ大陸には54の国があり、南アフリカは最南国。その北にジンバブエ、ボツワナ、ザンビアがあり、今回その4か国を回った。共通するのがイギリスやポルトガルなどヨーロッパの植民地だったこと。民族解放までの険しい道のりを経て、それぞれが独立国となった。
この4か国の中で一番貧しいのがジンバブエで、産業が農業しかなく、農業政策に失敗した政府がハイパーインフレを引き起こし、今もその影を引きずっている。1億ジンバブエドル紙幣や8000万ジンバブエドル紙幣などが10ドルで売られていた。
ジンバブエのGDPの3倍を誇っているのがボツワナ。こちらも1966年の独立時には最貧国だったが、ダイヤモンド鉱脈を当て、その利益を政府が初等教育、医療、インフラ整備に回したことで、ボツワナ経済の基礎を作り今の豊かな国に至っている。
また、ボツワナは日本のODAの重要なパートナー国であり、日本はボツワナ経済発展のために、人材育成を中心に経済・技術支援を行っている。
最も都会化しているのが南アフリカ共和国。鉱物資源に恵まれており、金融業がアフリカで一番発展していると評価されているが、近年は電力不足やインフレ、失業率の高さなどの課題を山積している。
訪れたのはケープタウンとヨハネスブルグで、都会化され美しい街並みやビル街がある一方、どちらにもタウンシップと呼ばれる貧困地域が目を引く。白人が居住する場所は高い塀で囲まれ、夜は住民ですら出歩かないほど治安が悪い。
今回、ケープタウン大学MBA名誉教授やJICA職員との勉強会などが行われたが、日本との現在の関わり、国際支援を垣間見ることとなった。
ちょうどアフリカに行く直前に、横浜でTICAD(アフリカ開発会議)が開催された。日本が今後アフリカとどう関わっていくのか興味深い。

よみっこ編集長 朝廣 佳子

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