編集長のメッセージ(11月)

南アフリカの旅について、前月の続きとして今回は野生動物の話をしたい。
アフリカといえば野生動物の宝庫。各国は自然保護区や国立公園として、大きな枠で野生を保護している。今回ボツワナのチョベ国立公園でサファリツアーに参加した。車やボートで回るものだ。茶褐色の草原の中に突然ゾウの集団が現れたり、キリン、シマウマ、インパラ、ライオン、バッファロー、ヒョウ、川ではワニやカバに出合ったりと、数多くの野生動物を見ることができた。いつどこで出合えるかわからないので、そこは運転するガイドの勘に任せて広い野原を探し回る。
メスライオン6頭がインパラの集団に少しずつ時間をかけて近づき一気に襲う場面や、ライオンに仕留められたキリンが横たわり、その周りをジャッカルやハゲタカが集まる光景にも偶然出くわした。ものすごい死臭。目だけハゲタカに食べられたのかえぐられていた。結構近づいて観ていたのだが、我々が襲われないのは、野生動物は一般的に人間を恐れていて餌という認識がないと聞いた。我々も興奮させないようジープの中では動かず静かにするよう注意される。だが後日、子ゾウに近づきすぎたイギリス人のボートが親ゾウに襲われる事件が起こった。弱肉強食の世界。生き残るために絶えず戦い続ける動物の世界に足を踏み入れるのであれば、そうした基本ルールを十分知っておかなければならない。
ガイドの話によると、野生動物も密猟によって絶滅の危機にさらされているものが多いという。その中の一つがゾウだ。今回訪れたジンバブエ、ザンビア、ボツワナ、隣接するアンゴラ、ナミビアの五か国で協定を結び、アフリカゾウの保護に力を入れている。保護といっても手を加えて囲うのではなく、野生で生き続けるために様々な手を打っている。
ちなみに奈良公園の鹿も野生なのだ。野生動物として生きるゆえの自然のバランスを我々はちゃんと考えることが大切だと実感した。

よみっこ編集長 朝廣 佳子

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