夏に急増!痛っ〜い「こむら返り」SOS

就寝中や運動中、突然激痛が走る「こむら返り(足のつり)」。大抵は数分で収まるが、できれば遭遇したくない痛み。夏の時期に増える「こむら返り」の予防法を紹介する。

こむら返りは、筋肉の異常収縮(筋痙攣)で起こる痛み。運動中や就寝中など老若男女問わず起こる。こむらとは「ふくらはぎ(腓腹筋)」のことだが、足裏、太もも、すね、胸など他の部位でも起こる。加齢とともに慢性化・重症化するので要注意。

こむら返りはセンサーの誤作動!?

実は、こむら返りの発症メカニズムは解明されていない。一般的には、筋肉の縮み過ぎを防ぐセンサー「腱紡錘」が何かの要因で誤作動し、その結果筋肉が過収縮(筋痙攣)を引き起こすと考えられている。

こむら返り「5大要因と予防法」

❶ミネラル不足

腱紡錘の誤作動が起こる最大要因は、ミネラルバランスの乱れ(電解質異常)とされる。ミネラルのうち、マグネシウムは筋肉を弛緩し、カルシウムは収縮させる働きがある。マグネシウムはカルシウムに比べ発汗などで失われがちなので、カルシウムの方が多くなると、筋の収縮が過剰に起きてしまう。

「マグネシウム」を摂る食事を意識しよう

ひじき、わかめなどの海藻類、アーモンドや大豆などの豆類、ゴマや玄米に多く含まれる。意識的にこれらの食材を取り入れてみよう!

❷水分不足

運動中や就寝中の発汗による「脱水状態」もこむら返りが起きやすい。人は寝ている間にコップ1〜2杯(約500㎖)の汗をかく。また汗や尿と一緒に、ミネラル成分も排出される。体内の水分量が減ると、血液もドロドロになり、筋肉への伝達信号の働きも低下。これから暑くなる夏は、汗も多くかくので、こまめな水分補給が何よりも大切。

就寝時と起床時は、コップ1杯の水を

1日2.5ℓの水分が必要。そのうち食事で1.3ℓ。つまり1.2ℓは、意識して水を飲まないと水分不足になる(厚生労働省HPより)。寝る前と起きた時に、コップ1杯の水を飲むように心がけよう。また夜中にこむら返りになる人は、枕元にペットボトルの水を用意しておくと良い。

❸筋肉疲労

テニスやサッカーなど激しいスポーツ、立ち仕事などの長時間労働は、汗を大量にかき、筋肉が酷使される。ミネラルが大量に消費されて疲労物質(乳酸)がたまると、筋肉の伝達機能が誤作動し、筋痙攣が起きやすくなる。

水分補給にストレッチ、疲労緩和アイテムも

こまめな水分補給(スポーツドリンク)に加えて、ストレッチを心がけよう。下肢のむくみや滞った血流を改善する「着圧ソックス」や、体圧分散してくれる「インソール」など、足の疲労を和らげるアイテムも効果的だ。

❹冷え(血行不良)

体が冷えると、筋肉がこわばって血流が悪くなり、ミネラルや栄養分が体内に巡りづらくなる。その結果、筋の伸縮が正常に働かなくなり、こむら返りが起きやすくなる。寒い冬はもちろん、夏の冷房にも注意が必要だ。

もう1枚掛ける習慣を

暑い夏場は、室内の温度を下げ過ぎない。就寝中は布団をかけて寝る。デスクワークやリビングで寛ぐ際も、ひざに一枚薄い布をかけて体を冷やし過ぎないように配慮しよう。また就寝前には、ゆっくりと湯舟につかり体を温めることも大切。

❺加齢

50歳以上のほぼ全員が夜間のこむら返りを一度は経験し、60歳以上の6%が毎晩こむら返りに襲われているとの報告がある。年齢を重ねると筋肉量が落ち、下半身の血液循環が低下。栄養分が全身に渡らず疲労も蓄積されがちに。さらに高齢者は、動脈硬化による血行不良、冷え、神経障害などの不調も重なりやすく、日常的にこむら返りが起きやすい体質に。

スクワットで筋肉維持

スクワットは、お尻や太ももといった下半身の大きな筋肉を鍛えられる。加齢で減った筋肉量を増やすだけでなく、血流改善効果も期待できる。
肩幅に開いて立って、両手を前に 伸ばし、ゆっくりと膝を曲げて行う。 1日50回~100回程度を、無理なく 続けよう。
★こむら返りは、妊娠中にも起きやすい。また別の重大な病気が隠れていることもある。頻繁に起こる際は、一度循環器系、神経内科、整形外科を受診しよう。

〈応急処置〉筋肉を伸ばす

こむら返りになったら、痙攣した筋肉をまず伸ばそう。ふくらはぎの場合は、痛む足を後ろにしてアキレス腱を伸ばす要領で。床に座った状態なら、足先を手でつかんで手前に引き寄せる。急に負荷をかけないように注意して、ゆっくりと徐々に伸ばそう。大抵は30秒から2分ほどで収まる。

あわせて、患部を蒸しタオル等で温める。スポーツドリンク等で水分摂取するのも良いよ!

また、漢方薬の「芍薬甘草湯」もオススメ。比較的短時間で、筋の過緊張を緩めて痛みを和らげてくれる。なお甘草は血圧を上げるため高血圧の人は注意。服用に際しては、かかりつけ医に相談を。

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