第6回山寺おしょうのお悩み相談|仏壇のことでご相談したいです。

【お悩み】仏壇のことでご相談したいです。

父が亡くなり、仏壇を置いて供養したい気持ちはあるのですが、家が狭くて仏壇を置く場所がとれず、また購入するお金もままなりません。こんな家族でも供養するにはどうしたらいいのでしょうか。

(奈良市 だいずさん)

形ではなく心が大切です

人は2度死ぬという話があります。1度目の死は身体から魂が離れる時です。そして2度目はその人を知る人がこの世からいなくなった時です。そして完全に死を迎えると、またこの世に生まれて来るのです。これを仏教では、輪廻転生りんねてんせいといいます。
仏教ではこのことを苦しみの連鎖として良くない状態としています。良い状態は涅槃ねはんに入るといって、生まれ変わらずたくさんの人の心に生き続ける状態、苦しまない状態、極楽浄土にいる状態。それは仏や神になることです。
だから人は生きている時、どれだけ人を幸せにすることができるか、人のために何を残すかということが重要になってくるのです。
良い行いをしたりたくさんの人を助けたりと、自分のためではなく周りの人のために何をするかなのです。そのことによりたくさんの人の記憶に残り、語り継がれていくのです。人は良い記憶しか残らないようになっているからです。
私も母とはよくけんかをしていましたが、亡くなった直後から良い事しか思い出せませんでした。そうして死を迎えると、今度はこの世に残された人の記憶の中に生き続ける存在になります。1度目の死から2度目の死の間がとても大切です。毎日たくさんの人に、あがめ奉られ思い出されることにより2度の死を迎えた後、生まれ変わりが良くなるからです。
裕福な家庭に生まれたり、優しい両親のもとに生まれたり、幸福に生きていける人、才能を持った人などに生まれ変われるといいます。だから私たちはご先祖様の追福を祈るのです。それが供養の一つです。
家族や親戚と手を合わせること、供養することはとても重要です。そのために仏壇やお墓があり、神社やお寺があり、それを教えてくれる神主さん、お坊さんを敬うのです。

でも、大切なのは供養する心です。もちろん立派な仏壇を用意できればご先祖様も喜ばれるでしょうが、仏壇やお墓の大小、その有無にこだわらなくても、毎日亡くなった人のことを思い、世話になった人に感謝して生活を送り、少しでも健康で長生きすることが、長くたくさん供養できることになり、一番大切だとも言えるのです。

写真でも戒名を書いた紙でもいいので置き、家族、親戚皆さんで集まり手を合わせ、亡くなった人の話をすることを心がけてください。皆でお寺にお参りするのも思い出となり良いことだと思います。
形でなく良い習慣を身につけることが大切です。果物やお菓子、ちょっとしたものもご先祖様にまず供えて手を合わせてください。自分の心も浄化されますよ。
回答者

大塚 知明 師

真言宗醍醐派妙法寺(大師山寺)住職
当山派修験大先達
ならどっとFM78.4MHzにて「山寺おしょうのラジオ法話」を放送中!
戻る