〈奈良市〉400年余の時を宿す老舗蔵が「奈良春日山酒造」として再出発 2026.4.16 やーさん 春日山からの水脈上に酒蔵が居並んだ清水通り 奈良公園の東南、福智院から東のバス通までの通りは、かつて清水通りと呼ばれ、春日山原始林からの清浄な水脈を利用して、東西約200m強の道筋に醤油蔵や4軒もの酒蔵が並んでいたといいます。 現在も「春鹿」で知られる「今西清兵衛商店」と、かつての「横田屋(後の八木酒造)」で現在の「奈良春日山酒造」がその歴史を紡いでいます。 奈良春日山酒造の前々身「横田屋」は、江戸時代中期から中清水町の清水通りで醸造業を営んでいましたが、明治の中期13代目に家業が傾き、堂島の米問屋を営む八木千之助が明治10年に一切を譲り受け、八木酒造として令和4年(2022)まで続きました。 ※同蔵には寛永5年(1628)に改築の記載がある木片が現存していて、400年以上の歴史を持つ老舗蔵だとわかります。 そして2022年の暮れに「ホンダネットキンキ株式会社」が新たなオーナーとなり、2024年からの大々的なリノベーションを経て2026年春の再出発となりました。 白壁と黒壁のコントラストが美しい酒蔵 庭から母屋、庭、旧蔵の骨組みオブジェ、檜の大樽が居並ぶ蔵の梁は急蔵のものをリユース 母屋と庭、蔵も全面リノベーション。 敷地全体でお酒を愉しめるエンタメスポットに 母屋の一階は店舗、その奥や横手はお酒や料理を愉しめるレストランもできる設えです(時期は未定)。一枚板のカウンターを据え付けた大広間、その高天井の吹き抜けにつながる二階フロアも庭の景色を眺めながら食事などができる空間に。上がり框の箱階段や黒光りする太い梁が400年の歴史を語りかけます。 清水をくみ上げる井戸は今も現役 庭園を挟んで近代的な酒蔵 母屋の南側、酒蔵との間には、今も清水を汲み上げているという井戸が鎮座、シンボルツリーの桜を中心に各種花木、石燈籠や踏み石を配した庭園が広がります。 その庭先に元の蔵の骨組みだけがオブジェのように建っていますが、ここはいずれ楽しいイベント会場になることでしょう。 その奥が、リノベーションされた江戸時代からの土蔵です。温度管理や衛生管理が整った近代設備に生まれ変わりました。醸造タンクは何と杉の新品大樽が5つ並びます。が、代々住み着いた独自の菌を守るため古い梁・土壁などはリユース、伝統の味を守ります。木の香も清々しい麹室、ここで麹が醸されるのかと、その湯気が目に浮かぶようです。 仕込みから発酵にかけては24時間体制が続くこともあるお酒の醸造。杜氏さんたちが寝泊まりする部屋や浴室・キッチンなども備わっています。 糀室醸造タンク ジャケットタイプや富士山型ボトルなど意匠を凝らしたニューフェイス酒 商品は、おなじみの吟醸・上撰『升平』に加え、大吟醸の『ご香酒』、果実のリキュール、麦や芋の焼酎などがあります。特筆すべきは、おしゃれなジャケット(パウチ)タイプの清酒や果実酒、富士山型ボトルに入った梅酒や柚子酒等でしょう。インバウンドはもちろん、国内の観光客にもお土産品として好評です。 特に伝説の神鹿「ロクさん」や百人一種シリーズがデザインされたパウチタイプは、瓶と異なり持ち運びにも便利と大人気。 【MENU】 試飲 200円~ 富士山ボトル(柚子・梅) 各365ml 2,590円 パウチタイプ(6種)各100ml 1,290円 他 『升平』の飾樽が置かれ、杉玉がかかるショップから入るのもいいですが、その横手の大門から入って庭の散策(入場自由)や歴史を感じさせる母屋の造りを楽しんでから、試飲と品選びに興じるのがお薦めです。 ※商標の「升平」は大正年間、二代目八木幸彦が、官久庵宗匠 木津宗一師より受けた銘で、論語『民有三年之儲日升平』の一節で、「穀物がよく稔り、その価格が平らかなこと」の意 ★庭の散策自由、時期は未定ですがいずれは蔵見学やレストランも開業予定とのことです