メディカル最前線vol.48 西の京病院 脊椎センター

腰椎椎間板ヘルニアの新療法「ヘルニコア」
脊椎外科専門医による診断と最善の治療!

つらい腰痛、その痛みや原因はいろいろだが、腰や臀部が痛み、下肢にしびれやだるさ・痛みがある、足に力が入らないなどの症状に、腰椎椎間板ヘルニアによるものがある。その椎間板ヘルニアの新治療法「ヘルニコア」について西の京病院脊椎センターで話を伺った。

整形外科部長・脊椎センター長

向井 克容 医師 MUKAI KATSUHIRO

先生の健康法
バランスの良い食事を適量!自宅周辺は坂道が多く、適度な負荷のあるウォーキングを心がけています。

■椎間板ヘルニアとは?

背骨と背骨をつなぎクッションの役目をしている椎間板。そのクッションの壁の一部が壊れ中の髄核が後方に飛び出て神経を圧迫するのが椎間板ヘルニアだ。腰回りの神経は脚の方に行っているものが多く、多くは坐骨神経痛や歩行困難などを訴える人が多い。

■豊富な経験による正確な診断「MRI検査」で診断 

ヘルニアのMRI
まずは痛みがどこからきているか、坐骨神経痛の出現や下肢の感覚が鈍いかどうか、足の力が弱くなっていないか等、神経学的に診断。さらにX線(レントゲン)撮影、MRIなどで検査し、診断を確定する。

■高度な技術に基づく負担の少ない治療「ヘルニコア注入療法(椎間板内酵素注入)」

コルセットや消炎剤・神経ブロック注射などの保存療法で回復しないなど、症状が強くなれば手術で神経の圧迫を取り除くことも必要になってくる。だが、椎間板ヘルニアの状態によっては、「ヘルニコア注入療法(椎間板内酵素注入療法)」が効果的だ。
これはコンドリアーゼという薬剤を椎間板の髄核内に注入する治療法。コンドリアーゼは、髄核の保水成分(プロテオグリカン)に含まれるコンドロイチン硫酸を分解する酵素で、水分による膨らみが減ることで神経への圧迫が減弱、痛みやしびれを軽減させるものだ。
早い人は1~2週間ぐらいで効き始めるといい、同院で受けた人の予後は順調という。

■ヘルニコアの適応

ただ、この療法には次の条件がある。
・一生に一度の投与(1か所に1回) …タンパク質でできている薬なのでまれにアレルギー症状が出る。また2か所以上のヘルニアでも1か所に1回しか投与できない。
・年齢制限…20歳以上であること。ただし高齢者は効果が薄い。若い人は成長軟骨への影響もあり、高齢者は老化による髄核の水分低下がすでにあるからだ。 
・脊柱管狭窄症やすべり症など、加齢性のものにも使わない
・ヘルニアの形状によっては効果が期待できない…専門医による的確な診断が必要だ。

傷口は針穴のみ・局部麻酔・保険適応

局部麻酔で傷口は注射針の穴のみ。同院では、経過観察のため1日入院、1週間後に初回外来する。

足腰の症状でお悩みの方あきらめないで!

ヘルニアにもいろいろなタイプがあります。医学的所見と画像などから総合的に判断し、ベストな治療法を選び、専門性の高いチーム医療を行っています。
脊椎センター副センター長 吉田 真 医師<右> 
整形外科医長 藤井 渉 医師<左> 

■問い合わせ/患者支援センター TEL.0742-35-2219
■取材協力/医療法人康仁会 西の京病院 TEL.0742-35-1122(メディカルプラザ薬師西の京事務局)奈良市六条町102-1
https://www.nishinokyo.or.jp/

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