〈葛城市〉奈良で育った新鮮野菜でみんなを笑顔に!新進気鋭の若手農家/『スマイル葛城農業』石井悠勢さん

おいしい新鮮野菜でみんなを笑顔に!
“若手の星”を目指す新進気鋭の農家

「若手農家の星になりたいんですよ」。そう語るのは葛城市在住の石井悠勢さん。20歳で就農した新進気鋭の若手農家です。

就農したきっかけは学生時代。「元から就職ではなく起業を考えていて、いろいろと失敗してきた中で農業に行き着きました。田舎育ちで自然に触れることも野菜も好きでしたし、コロナ禍で飲食店でのアルバイトもなくなり時間ができた時に飲食店のオーナーから”野菜を作ってくれたら買うよ“と言われたこともあって思い切って決断しました」

しかし大学で農業の勉強をしていた訳ではないため全くの無知識。地元の農園や近隣の農家に飛び込みで教えを乞いに行き、一から農業について学びます。そして大学2回生の冬、市内にあった農地を借り受けて農家ライフをスタートさせました。

5アールほどの小さな畑で初めに作ったのは大根などの冬野菜。「自分で作ったものを“おいしい”と喜んでもらえたり、売れてお金になったりしたことがうれしかったです」。

その喜びから葛城市内の数か所に農地を借り受け、規模は現在2.5ヘクタールにまで拡大。「どんどん借りていくうちにもう後には引けない広さになってしまいました。今は人手もないのでこれ以上は見きれないですが」と石井さんは笑います。

基本は石井さん一人で畑を見ることが多いですが、学生時代の友達が休みの日などに手伝いに来てくれることも。

一方で就農時には課題もありました。「新規就農にあたって補助金がもらえる制度があるのですが、交付要件を満たせず自己資金ゼロの状態から始めることになってしまいました」。

石井さんは朝に畑で仕事をした後、夜勤のアルバイトで稼ぐというハードワークの日々を過ごし、どうにか資金を確保し持ちこたえたといいます。

また農地はほとんどが長年手つかずだった耕作放棄地で、自ら再開墾することを条件に無償で借り受けています。中には10年以上放置されていた土地もありますが、土壌改良効果に優れる馬糞を多く含めた肥料を使い栽培可能な状態まで改良しました。

「なんとか栽培できるようにはなりましたが、長期間放置されてきた結果、雑草の生命力も強く、引き続き改良していく必要があります」

太田地区の畑ではトウモロコシとナスを栽培

現在、栽培する野菜はトウモロコシやブロッコリーを中心に季節野菜などを栽培。新鮮な山の水を栽培に使えるのは葛城山麓にある農地だからこそ。農薬の使用回数を減らした減農栽培を行うことで、安心で安全な野菜の提供を心がけています。

秋にはサツマイモやブロッコリー、冬には大根や白菜などを育てている
大和ルージュ

野菜は同市山田にある事務所前で直売するほか市内の道の駅などでも販売し、飲食店への販路も獲得。就農3年目には一般社団法人「スマイル」を立ち上げ、学生時代の目標である“起業”も達成しました。

スマイル葛城農業〈直売所〉
朝採れの新鮮な野菜が100円から買えるよ!

「農業に挑戦し、おいしい野菜を作って、売って収益を出す。それを自分自身が成功させていくことで、僕と同じような若い方に農業が“楽しい”仕事だというイメージを持ってもらいたい。そうして若者の新規就農者が増えていけばうれしいです」。

2010年以降、毎年10~50万人ほど減少している就農人口。若手農家の星は、国内農業界の「希望の星」となれるか。石井さんの挑戦は続きます。

Profile

石井 悠勢

ISHII YUSEI

1999年、葛城市生まれ。起業を考える中で農業と出合い、天理大学在学中に就農。現在は市内に点在する約2.5haの耕作放棄地を再開墾しトウモロコシやブロッコリーを中心に野菜を栽培。2022年8月に一般社団法人を立ち上げ、道の駅や直売所での販売も行う。

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