編集長のメッセージ(3月)

龍神を制するのはえびすさん!?

新年になり立て続けに様々なことが起きている。今年の干支の龍は暴れ龍でもあり、その暴れる龍を制するのはえびす様だというお話を、先日、西宮神社の吉井良昭宮司からお聞きした。

話は神話に遡る。イザナギとイザナミから生まれたお一人がヒルコノミコト様。だが不具合のある子だったので、小さな舟に乗せて大海原に流されてしまった。そのヒルコが後のえびす神となって祀られたのが西宮神社のいわれとされる。
ヒルコの乗った船は、波に乗って海の底の龍宮城にたどり着き、そこの龍神様に育てられた。そのうち龍神は、ヒルコが天照大神の弟神という貴重な存在だと知り、ヒルコを元の世界に戻した。漁師が御神像をお祀りしていたが、ご神託により西宮神社に祀られた。
龍神に育てられたえびす様ゆえ、暴れる龍をいさめられるのだということだ。
さて、西宮神社といえば有名なのが十日えびすの開門神事・福男選び。毎年1月10日午前6時の開門と同時に大勢の男たちが本殿めがけて境内を全力疾走し、上位3人が福男として重宝がられる。
西宮神社の周りでは、1月9日の宵宮の夕方から神様が市中を回られるので門松に当たらないよう門松を逆さにし、息を殺してひっそりと神様の通られるのを見守る「いごもり」という風習がある。ゆえに夜が明けて開門されると我先に走ってお参りに行った。これが「走り祭り」の起源だそうだ。
両親に捨てられた神様が龍によって蘇り、商売繁盛の神様として福を授けていただけるという、すてきなお話でした。

よみっこ編集長 朝廣 佳子

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