第14回山寺おしょうのお悩み相談|この1か月間の新聞紙上を拝見すると暗いニュースの連続です

【お悩み】この1か月間の新聞紙上を拝見すると暗いニュースの連続です。

ゆとりが失われているように思います。社会全体に目標がないためでしょうかね。自分自身にも問うてみています。
政界は目先の事柄をテーブルのハエを追うがごとくに精一杯で、後ろを振り向かないで約30年、膨大な借金やゴミはどうしたものか。
財政はひっ迫して底辺の国民は孤独死、自死で困っている現状を見て見ぬふりで、すべてが時間の経過で幕引き、小生の日々超大きな悩みです。
(奈良市 KK)

敬う気持ちを育てることをしていない結果の表れですね

ほんの30年前までは、「神仏を敬いなさい。お父さんお母さんを敬い、ご先祖さんに手を合わせなさい。師と付く職業の人を敬いなさい」と強く教えられていました。
そして亀の甲より年の功、目上の人の言うことを聞いて、理不尽なことを言われても従い、その良さ悪さを実感することで、何が正しいかを自分で判断する認識を育てる。また目上の人や師の付く人たちは、時間を惜しまず社会の模範となるべく努力したと思われます。努力している人をたたえ敬い、目標として過ごしていたのだと思います。
それが平等や個人主義などを重んじるようになり、またテレビ、インターネットにより情報が多すぎて、コミュニケーションの不足、核家族化。そうしたことにより、いつの間にか冠婚葬祭が減り、言葉で伝える、面と向かって話し合う、敬語を使うなど、意思の疎通が下手になってきてるのだと思います。
お寺に来る人もそうです。昔は正装してくる人がほとんどでした。お供えやお賽銭さいせんを持ってくるのが当たり前でした。それは親御さんがお寺に行く時はお供えを持っていきなさい。ちゃんとした服装をしなさいとうるさく言っていたからです。そこには敬いという心を神仏を通して育てていたからです。
お釈迦さんの時代、私個人としてはカースト制(身分制度)には反対でしたが、しかし規則規律を守るには敬いということが必要であり、自制する心を育て敬うということで、相手のことを思う、相手の立場を考える人になることの大切さを教えています。そのことが世の中の平和の根源であるといえます。
こんなに世の中が豊かになっているのに、生活改善、無駄なお金は使わないように、煩わしいコミュニケーションだと冠婚葬祭を減少させ、その結果、家族の大切さ、地域コミュニティー、義理人情などは、過去のもののように扱われ、敬う気持ちも育てなくなり、命の大切さ、血のつながり、縁の喜びなどもなくなっております。そんな今だからこそ、もう一度煩わしいことの良さを取り戻す努力をしてください。
毎日暗いニュースや政治、財政などのことを考えるより、近所、家族、親類の人と語らう楽しさを持ち、寺社を巡り歴史を探求していただくとそのことがよくわかると思います。
今の時代はとても幸せな時代ということもわかると思います。自分の欲望を満たすことを考えるのではなく相手の気持ちを考える、そんな人生でありたいと思います。動物の中で敬う心を持つのは人だけです。なぜ必要か考えてみてくださいね。そして、恩に報いるということを周りの人に教えてあげてください。
回答者

大塚 知明 師

真言宗醍醐派妙法寺(大師山寺)住職
当山派修験大先達

大塚住職出演!
Boze数珠つなぎ
公開トーク Vol.7

場 所
近鉄大和西大寺駅南側
住まいと暮らしのぷらっとHOME® 西大寺
日 時
7月26日(土) 13:30〜15:00
参加費
500円
ならどっとFM78.4MHzにて「山寺おしょうのラジオ法話」を放送中!
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