空き家抱えていませんか?手に負えなくなる前に利活用を考えよう

日本の各地で増え続け社会問題となっている「空き家」。2023年の統計調査※では全国にある空き家は900万戸と発表された。2033年には住宅の3件に1件が空き家になるという予想もされている。空き家問題が身近に迫る前に、対策と活用方法について考えてみよう。
※総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」
空き家の種類は約4つ!

問題になるのは
自覚のない空き家

空き家は「賃貸用」「売却用」「二次的住宅」「自覚のない空き家(賃貸用・売却用、二次住宅以外)」に分類さる。全体の半数が賃貸用で、自覚のないものが半数近くを占める。賃貸用・売却用・二次的住宅は管理者による定期的な管理が行われているが、自覚のない空き家は放ったらかしになり、管理がされていないことも。自覚のない空き家が問題となる。
入院・高齢者施設への入居などで長期にわたって不在の住宅。
両親が住んでいた住居を、遠方に住む子どもが相続して不在の住宅
【管理】所有者
賃貸用
入居募集中で空き家になっている住宅。
【管理】所有者・不動産会社など
二次的住宅
普段は人が住んでいない別荘など
【管理】所有者
売却用
売却目的で空き家となっている住宅
【管理】所有者・不動産会社など
※空き家全体に占める割合
総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」
遠方だし、お金もかかるからほったらかしでもいいんじゃないの?

自覚のない空き家を
放置すると大変なことに!?

自治体が適正な管理がされていない危険な空き家と判断したら、助言・指導・勧告などの指導が行われる。改善されなければ命令になり、最終的には行政が所有者に代わって解体し、所有者に費用を請求する(行政代執行)。

空き家等対策の推進に
関する特別措置法

空き家の調査
管理不全空き家・
特定空き家に指定
助言・指導
勧告
命令
行政代執行
命令違反をすると、
50万円以下の過料
空き家の調査
管理不全空き家・
特定空き家に指定
助言・指導
勧告
命令
命令違反をすると、
50万円以下の過料
行政代執行
管理不全空き家:窓や壁が破損しているなど管理が不十分な状態
特定空き家:そのまま放置すると倒壊の恐れがある状態
家は残らないしお金は取られる!

人・物・金 の問題で
空き家問題は
深刻化

(相続登記・遺産分割) な問題

相続登記が長らく行われていなかった不動産の中には、祖父や曽祖父から名義を変更することもある。その場合、1つの物件に対して相続人が数十人になることもあり遺産分割が困難に。また、相続人の中に認知症の人がいれば契約が行えず、成年後見人を定める必要も。

(土地・建物) な問題

売買や賃貸などで買い手や借り手が見つかる空き家は問題にならない。家の建てられない狭小地や山間地など不便な場所にある場合や、不動産登記ができていない場合、境界が確定していないなど土地に問題があるケースは利活用ができないことも。

銭の問題 (お金の問題)

建物の解体が必要となった時、一般的な木造住宅でも150~200万円の費用がかかる。古い大和棟の民家や山間部の集落にある建物なら500~600万円以上になる場合も。

空き家が気になり始めたら
早めの相談を

各地域の自治体の空き家相談窓口やNPO法人などでも悩みや困りごとに応えてくれる。各地域で無料相談会やセミナーなども行われているので、少しでも気になる人は早めに相談してみよう。
相談会・セミナーはHPを確認!
詳しくはこちらから▶︎ https://akiyaconcierge.com/
定期管理サービス
空き家の状態をキレイに保つために風通しや掃除など、定期的に管理を代行するサービス。メンテナンスの頻度も選べて、遠方に住んでいる人におすすめ。
空き家バンク
自治体やNPO法人で運営される空き家の所有者と利用希望者のマッチングを行うWEBサイト。登録前には空き家の現地調査が行われ、利用希望者との交渉など専門家によるサポートを受けられる。不動産会社に断られた場合も相談してみよう。
サブリース契約
空き家の所有者と利用希望者の間に入り賃貸契約を行う仕組み。基本的に2年間の契約なので物件購入前のお試しとしても利用できる。契約の延長や契約期間後に購入することも可能だ。

不動産相続に関わる
制度チェック!

令和5年4月27日施行

相続土地国庫帰属制度

相続で取得した土地を国に引き渡す制度。申請後に審査があり、承認された場合には負担金を納付する必要がある。
※詳細は法務省ホームページにて
・審査手数料 一筆あたり14,000円
・負担金 (10年分の土地管理費相当額) 宅地の場合 20万円~
令和6年4月1日施行

相続登記の申請の義務化

相続で不動産(土地・建物)を取得した場合。取得を知った日から3年以内に申請が必要。
※詳細は法務省ホームページにて
→ 3年以内に登記申請しないと10万円以下の過料の対象に!
令和7年4月1日から

建築基準法の改正

木造戸建住宅の建築確認手続きの見直し。2階建木造住宅の新築と大規模リフォームに建築確認手続が必要となる。費用と納期の面で注意が必要だ。
※詳細は国土交通省ホームページにて確認を

使えば生きる!

空き家リノベーション
活用事例

築100年以上の古民家をリノベーション
いちご農家の夫婦で営む点心カフェ

利活用事例

点心カフェ 花水土香 /はなみづか

壁を取り除きワンフロアに改装
高取町の空き家となっていた古民家を活用した「点心カフェ 花水土香」。東京都出身の成田剛さんと山形県出身の麻岐さん夫妻が、いちご農家を営みながら、5月から10月中旬までの半年間、週末営業する。
明治期の築100年以上の古民家は、ふすまで仕切られた昔ながらの田の字形の間取り。壁を取り除きワンフロアに改装し、天井板を剥がし屋根を支える梁の構造が見える吹き抜け空間に。DIYで塗り替えた壁は、一般的な白漆喰ではなく、黒粉を混ぜてオリジナルのグレーの色合いを作成した。初心者ゆえに生じた塗りムラが「味」として店の個性になった。玄関と手洗いのモザイクタイルは麻岐さんの力作。玄関扉にアンティークの蔵戸を用いるなど、和の趣とアジアンテイストを融合させた空間に仕上がった。
●TEL:0744-47-4247
/高市郡高取町下土佐339-1
/11:00~17:00(LO15:30)
/月~木曜休/駐車場あり
5月3日(日)から営業再開
成田剛さんと麻岐さん

木造2階建の事務所から
家庭的な料理が魅力の食事処へ

利活用事例

おうちごはん ときのは

自宅ダイニングルームのような家庭的な雰囲気の店内
幼稚園のママ友だった梅本千鶴さんと吉尾友美さんの主婦2人が営む「おうちごはん ときのは」。今年3月に9周年を迎えた。家庭的な優しい味付けの料理で、週替わりのランチが人気。お客さん同士の交流もあり、地域のコミュニティースペースのような雰囲気のお店だ。
元は建具店の事務所として使われていた木造2階建ての空き家を活用。飲食店として使い勝手を考えキッチンに通じる壁と、廊下とを隔てる壁を取り払い、スペースを拡張した。店内には特注した一枚板の大きなテーブルを置き相席利用になっている。人と人との距離が近いので見知らぬ人同士でも自然と会話が生まれる雰囲気に。自宅のダイニングルームのような家庭的な空間だ。「間取りと広さがちょうど良く、私たちが望んでいた温かい雰囲気です」と梅本さん。2階には6畳間が2部屋ありDIYで補修した。個室として利用でき、子連れのお母さんもゆっくりと食事してもらえる。
●TEL:0744-22-0081
/橿原市豊田町299-12
/11:30~17:00
/日・月・木曜休 /駐車場あり

築50年の食堂兼住宅を利活用
旅好き夫婦が営むDIYゲストハウス

利活用事例

長谷寺ゲストハウス いったん

オーナーの森田晋吾さん
2016年に開業し、9年目を迎えた「長谷寺ゲストハウスいったん」。旅好きの森田晋吾さん夫妻の、心のこもったサービスが評判だ。
店舗は、食堂兼住居として利用されていた築50年ほどの空き家をリノベーション。水回り以外のほとんどの改装作業と、開業までの許認可を夫婦2人で行った。「持ち主の管理状態がよく、借りた時から建物はキレイな状態でした」と森田さん。床のタイルや壁など茶色がベースの純和風な空間だったが、訪れた人の気持ちが明るくなるようにとフロントの壁を鮮やかな黄色に、天井のティンパネルを紺色に塗りカラフルに仕上げた。また、当初住居スペースだった小上がりの奥にはダイニングキッチンとリビングがあり、宿泊者の共有スペースとなっている。2階には客室が3室。清掃が行き届いた畳敷きの和室で、ほっと落ち着ける。
●TEL:0744-48-3210
/桜井市初瀬2441-6 /駐車場あり
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