第20回山寺おしょうのお悩み相談|コーチの個人的質問に困っています

【お悩み】コーチの個人的質問に困っています

スポーツ教室で生徒が私しかいないことがよくあります。マンツーマンでラッキーな反面、男性コーチの個人的な質問に辟易へきえきすることがあります。
仕事のことや転職先、職種、出身大学、父親のことや兄弟の職業まで聞かれて困りました。他の常連さんたちにも会話が聞こえる範囲にいるので、聞かれても困るし聞かれたくもないです。
話題を変えてもまた元に戻して聞いてきます。その雑談から何か話題が広がるわけでもなく、個人的なことを断片的に質問してくる人っていますが、どのように対処すればいいでしょうか。言いたくないとも言えないでいます。
(M)

相手の方はあなたに執着を持っています。
無下むげに遠ざけると返って執着心をあおることになるかもしれません。

それはあなたにだけですか? そうであるなら、興味があるから聞く、もっと知りたい、相手をコントロールしたいという強力な執着心を生んでいる状態だと思います。
執着心(依存)というものは、仏教では悪魔や鬼といってとても厄介なものとして扱われます。自分自身も執着を捨てることを覚えてください。
執着を持っている人は、まず心に強い不安を感じている人が多いです。それと孤独や満たされていない渇望(渇愛)に怯えている不幸な人です。あなたという存在が思い通りにならないと怖くてたまらないのです。
しかしそのことは相手の問題です。あなたがどれだけ歩み寄ったり相手が好むような行動をとっても、相手の心にある不安が消えない限り、執着が止まることはありません。
そんな時、仏教では、智慧ちえと慈悲の心を養い修行せよ! と言います。
まず、
相手の感情と同調しないことです。相手が感情をぶつけてきた時にこちらも感情的に応じると、相手の執着のエネルギーに油を注ぐことになります。『あーこの人は今不安なんだなぁ! だからこんなことを言ってるんだなぁ』と一歩下がって冷静に観察してください。
心に毅然きぜんとした境界線を引いてください。平等で冷静な心を持って、「言えないことは言えない」と伝えてください。注意すべきは、
“反応の餌”をあげないことです。相手はあなたの困った顔、怒った反応、言い訳といったリアクションを求めています。お釈迦様は無用な争いや執着に対しては沈黙を守ることと説いておられます。必要以上の反応や長々とした説明を避け、事務的に淡々と接することで、相手の執着のエネルギーを燃え上がらせないよう、自然と沈静化させるのがいいです。
最後に、
④古い経典に“悪友から離れ、さいの角のようにただ一人歩む”という教えがございます。どうしても相手の執着が止まず、こちらの心身が犯される場合はやはりその場から離れるという選択が良いでしょう。物理的な距離を置くというのは、仏教の正しい教えです。
気を付けてほしいのは、
⑤そういった行動の中で「私は冷たい人ではないか」「相手を見捨てるのではないか」という罪悪感に襲われることがあります。
相手の執着に付き合い続け、あなた自身が疲れ果ててしまうのは、誰の救いにもなりません。あなたが凛として心の平穏を保ち自立している姿を見せることこそが、巡りめぐって相手の執着の目を覚ませる最善の縁になるのです。
回答者

大塚 知明 師

真言宗醍醐派妙法寺(大師山寺)住職
当山派修験大先達
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