編集長のメッセージ(9月)

朝廣の両親の十三回忌と七回忌の法要を営んだ。紙面でも何度か紹介させていただいたが、両親は長年、読売新聞の販売店を営み、働きながら大学に通う新聞奨学生を延べ百人以上預かってきた。その卒業生たちが「はばたき会」をつくり、生前はもちろん、葬儀や三回忌法要にも全国から集まってくれた。
今回は年数も経っているのに、なんと15人もの卒業生が遠方から法要に足を運んでくれた。来られなかった人からもお供えが届き、今もなお卒業生の心の中に両親は生き続けているのだと感じた。
奈良での奨学生生活を終え、故郷の広島で小学校教師となったK君は、「親父さん、奥さんには本当にお世話になった」と語った。落ち込んでいた時、義母がまぐろのかぶと焼きをごちそうし、「これ食べて元気だし」と励ましてくれたことが忘れられないという。
毎朝コーヒーを用意して配達を待ってくれている読者、お正月にはおせちやお年玉を、バレンタインにはチョコレートをくださる人など多くの人に支えられた4年間だったと話した。
K君は「僕の高校から新聞奨学生になった30人のうち、卒業まで続けられたのは私一人でした」と話してくれた。親元を離れ、働きながら学ぶ4年間は決して楽ではない。
今では新聞奨学生も激減し、時代の変化を感じる。それでも、卒業から何十年経っても「会いたい」「恩返しがしたい」と思ってもらえる出会いは、何ものにも代えがたい財産だ。彼らは地域みんなに育てられた。
人は何を遺していくのだろう。法要を終え、その答えを両親に教えられた。

よみっこ編集長 朝廣 佳子

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