在原神社のお掃除と業平祭

これが神社のご祭神、在原業平像(業平祭にて)

《連載》
新日本妖怪紀行|第35回

在原神社のお掃除と業平祭

昨年の11月号で在原神社(元の在原寺)のことを書かせていただきました。その中で、「境内のお掃除をしましょう」と呼びかけましたところ、うれしいことに10人(内3人は日程の都合がつかず)から申し入れがあり、地元の方々と一緒に4月22日の朝からお掃除をしました。今回はそのお掃除の様子と、業平祭の模様をレポートします。

ここが名高い在原寺、業平の屋敷跡

お掃除の当日、午前9時18分、JR桜井線「櫟本」駅に到着。そこから歩いて10分ほどで在原神社に着きました。すでに地元の方々が作業されておられ、我々「yomiっこ組」は業平が幼い頃、妻と背比べをしたという井戸のまわりを、まず担当しました。

在原神社はもともと業平の屋敷だった場所で、ここを舞台とした能の演目に『井筒』があります。まさに私たちがお掃除を担当した井戸が『井筒』の舞台なのです。

お掃除のときに井戸の中も、のぞかせていただきました。きれいな石積みの井戸で、底がどれほど深いのかよくわかりません。『井筒』では、業平の妻が亡霊となって、寺を訪れた旅の僧に業平へのおもいを詠んだ歌と彼との恋を語り、自分は紀有常きのありつねの娘であると名乗り、井戸の陰へと消えます。

そしてその夜、僧の夢に妻が現れ、業平の形見の衣を身につけて舞を舞い、その姿を井戸に映して業平を想いつつ、朝もやの中でおぼろになってゆくのです……。
そんなロマンチックな井戸が、蜘蛛くもの巣の張ってる汚い井戸でどうするの、と思ったのが11月号で呼びかけたきっかけでした。この井戸見たさに遠方から訪ねてこられた方の夢を壊すことのないよう、さあ、お掃除です。西名阪自動車道ができたことや、区画整理などで、在原寺(在原神社)の敷地が小さくなってしまったものの、ここが業平邸の本家本元であることを、もっとアピールするために、さあ、お掃除です。
みんなで、すごい量の落ち葉をかき集めては袋に入れていきます。だんだん慣れてくると手早くなって楽しいです。ワイワイと作業するうち、2時間ほどですっかりきれいになりました。地元の方々、天理市北部活性化プロジェクト委員会の方々、そして我々「yomiっこ組」で、参加者は総勢43人でした。最後は、残った人たちで記念撮影。お疲れさまでした〜。
落ち葉を集めては、袋に入れていきます

周辺にロマンを誘うスポットがいっぱい

そして4月26日(木)の業平祭にも参加しました。毎年、4月26日に行われているお祭りです。在原神社のご祭神である在原業平像とその父、阿保親王あぼしんのう像を拝むことができるのは、業平祭のときだけです。

お祭りはちょうど10時から始まりました。和爾下わにした神社の宮司さんの祝詞のりと玉串奉奠たまぐしほうてんなど、つつがなく神事が行われ、無事に業平祭も終わりました。
和爾下神社の宮司さんの祝詞(業平祭にて)

改めて、この境内はのんびりと本を読むとか休憩するのに、ちょうど良いスポットだと思います。他に櫟本周辺には、和爾下神社そのものが古墳の後円部に建つ和爾下古墳、埴輪はにわのジオラマが楽しい赤土山あかつちやま古墳、国宝「中平ちゅうへい銘鉄刀」が出土した東大寺山古墳、業平が高安の女のもとに通った「業平道」沿いにある「業平姿見の井戸」、荷物を運ぶ馬や牛をつないだ「馬つなぎ」が残る家など、ロマンを誘うスポットがたくさんあって、お弁当持参で巡るのも楽しいですよ。

在原神社も掲載されている、わかりやすい「櫟本」のガイドマップは、橿原市役所、橿原ナビプラザ、桜井観光案内所、近鉄奈良駅総合案内所、奈良市総合観光案内所、天理駅南団体待合所、JR天理駅・帯解駅・櫟本駅・柳本駅・桜井駅・高田駅などで手に入ります。他にもいろんな所に置いてあります。一度ごらんになってくださいね。
お掃除を終えて記念撮影、はい、パチリ
文・写真提供

竹林 賢三

TAKEBAYASHI KENZO

*掲載内容は2018年06月に取材したものです
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