【奈良市】御霊神社(ならまち)

●ごりょうじんじゃ

どんな神社?

御霊神社は延暦19年(800)、桓武天皇の勅命により創祀された神社。貞観元年(863)に平安京・神泉苑で始まった御霊会が奈良町でも営まれ、この時、南側の玄関口だった3つの街道にそれぞれ御霊社が造営されました。そのうち、中つ道に造営された井上御霊社が同社の始まりとされています。また上つ道には崇道天皇社、下つ道には他戸御霊社(現・井上神社)が造営されています。

宝徳3年(1451)の土一揆によって元興寺と共に焼失。その後現在地に遷座し、以来元興寺の鎮守社として広く信仰されました。豊臣秀吉の時代になると町切り(町域区分の確定)によって氏子関係が確立し、奈良町を守護する氏神となりました。その氏子地域は70町あまりにも及び、奈良県下唯一の広範囲を守護しています。

禍転じて福となす “御霊信仰”

主祭神の井上内親王は第49代光仁天皇の妃。宝亀元年(700)に天皇が即位すると皇后となり、子の他戸親王も皇太子となりました。しかし宝亀3年(772)、天皇を呪詛した疑いをかけられ皇后位をはく奪されると、他戸親王も廃太子となります。一説では山部親王(のちの桓武天皇)を擁立する藤原百川による策謀と伝えられます。その後2人は大和国宇智郡(五條市)に幽閉され、宝亀6年(775)に母子ともに薨去します。

薨去後、桓武天皇が即位しますが、都に天変地異が相次ぎ疫病が流行します。これを母子の祟りと恐れた天皇は僧侶に読経させ、墳墓を山陵に改葬、さらに「吉野皇太后」の追号を贈るなど手厚く慰霊しました。

以来、無実の罪によって非業の死を遂げた人の恨みが怨霊となって災いを起こすと恐れた人々は、これを丁重に祀ることで自分たちを守護する御霊となると考えるようになり、御霊信仰が誕生しました。

同社には井上内親王母子のほか、早良親王、藤原広嗣、藤原大夫人、伊予親王、橘逸勢、文屋宮田麿の8座が祀られ、あわせて八所御霊大神と呼ばれています。

出世稲荷神社で “えんむすび”

縁結びのご利益でも知られる御霊神社。南門をくぐって左手にある末社・出世稲荷神社がその神様を祀る社で、昭和27年(1952)に京都の出世稲荷神社から分霊したものです。

天正15年(1587)に豊臣秀吉が聚楽第に勧請したことが始まりで、「出世」の称号は農民から天下人となった秀吉にちなみ後陽成天皇が授けたものといわれています。

参拝の後はかわいいお守り付きの恋みくじで、縁のゆくえを占おう♪

狛犬の足止め祈願

願掛けひもは初穂料100円でいただけます

南門の両脇に立つ狛犬の前足には沢山の紐が結ばれています。これは江戸時代から伝わる願掛けの一種で、家出人や悪所通いの足が止まるようにといった願いを込めて紐を結んでいました。最近では恋人と一緒にいられるように客足が遠のかないようにといった縁結びや商売繁盛の願いを込めて結ぶ人も。

また結び目の表が「口」、裏が「十」になるように結ぶ「叶結び」で願いが叶うように思いを込めて結びましょう。

バリエーション豊富で迷う “御朱印”

【10月限定】「秋季例大祭」(令和3年)

参拝後にぜひともいただきたいのが御朱印。こちらでは通年の御朱印以外に、手彫りはんこで季節の花や風物詩などがデザインした月替わり御朱印切り絵御朱印などの限定御朱印がいただけます。御霊神社と共に「南都二大御霊社」に数えられる崇道天皇社とのコラボ御朱印も要チェック!

基本情報 Basic Information
御霊神社/ごりょうじんじゃ

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