メディカル最前線vol.47 西の京病院 循環器内科

日本人の死亡原因第2位の心臓病
地域の虚血性心・下肢動脈疾患の撲滅を目指す

日本人の死亡原因は、第1位のがんに次ぐ第2位が心臓疾患。その約半数が心筋梗塞や狭心症で、発症から短時間で死亡することもある命にかかわる怖い病気の一つだ。血管の動脈硬化が原因だが、それは冠状動脈だけでなく下肢動脈にも起こりうる病気で、いずれも生活習慣病が引き金となって発症することが多く、高齢化社会に伴い患者数が増えている。その歯止めと予防への警鐘とともに、進歩した治療法と技術で多くの命を救っている西の京病院・循環器内科の名方剛医師に話を伺った。

循環器内科 医長

名方 剛 医師 NAKATA TSUYOSHI

血管の健康が生存率に関わります。睡眠を含め、生活のリズムを一定に保つことが大切です。オン・オフで緊張緩和の時間を持つこと。隠れ高血圧も要注意です。
先生の健康法
生活習慣病の予防には有酸素運動が一番です。ラジオ体操やYouTubeの体操など、自分の環境に適したエクササイズで筋肉づくり→代謝の促進を。ちなみに私はYouTube派なのと、会長先生をはじめ職員全員がエレベーター不使用です。

■心臓や血管の病気

全身に酸素や栄養素を送る血液のポンプ役である心臓を取り囲んでいる冠状動脈。それが硬く狭くなると、胸が締め付けられるような痛みやひどい動悸が症状に現れ、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患を生じる。  また、休み休みじゃないと足が痛くて歩けない(間歇性跛行)とか足指の治らない傷などの症状は、下肢閉塞性動脈硬化症の疑いがあるという。

■下肢閉塞性動脈硬化症

「下肢閉塞性動脈硬化症は、あまり知られていない病気ですが、重症化しなくても死亡率が高く、重症化すると進行がんより予後も悪い病気です」と名方先生。脚の動脈の血管がコレステロールの付着で細くもろくなって血液の流れが悪くなり、進むと足指に潰瘍ができて壊死に至るだけでなく、全身の動脈硬化で亡くなる怖い病気だ。

Doctor’s comment

特に透析患者さんはなりやすく、当院の患者さんの症状には常に気を付けています

外来で行う検査

間歇性跛行は、脊椎管狭窄症の場合もあり、同科ではABI検査(足関節/上腕血圧比)やSPP検査(皮膚灌流圧測定)、超音波検査などで診断する。

■危険因子は、生活習慣の乱れの中に潜む!
― 塩分・糖質・脂肪分過多、喫煙、運動不足 ―

心疾患も下肢閉塞性動脈硬化症もその原因は、加齢のほかに、生活習慣の乱れが大きい。生活習慣病(高血圧症・高脂血症・糖尿病・慢性腎臓病)に喫煙・家族歴(遺伝)が影響し、その危険因子は、脂肪分や塩分、糖質の多い食生活、たばこ、運動不足だ。

危険因子

高血圧…塩分・運動不足・喫煙
高脂血症…コレステロール・中性脂肪 (炭水化物・動物性脂肪)・喫煙・運動不足
糖尿病…血糖値異常・運動不足
慢性腎臓病…塩分・運動不足・喫煙

※たばこに含まれるニコチンや一酸化炭素は、血管内の細胞を傷つけ、血液の粘度を高めて血流を悪くする。運動不足で筋肉量が減ると、新陳代謝が悪くなって内臓脂肪が付き、血液循環も不良になる。

■血管カテーテル室を常設、苦痛が少ない低侵襲治療

カテーテル室では、狭心症や心筋梗塞、また下肢閉塞性動脈硬化症の疑いがある人の冠状動脈・心臓、下肢動脈などの状態を細かく調べるカテーテル検査と治療を行っている。正確な診断と迅速・丁寧な治療対応で治癒向上の実績を上げている。
透視下で行うカテーテル検査・治療

①マルチスライスCTで検査

超高速撮影が可能な64スライスCTを駆使して、冠状動脈や下肢動脈の形や走行、狭いところ、詰まっているところの有無やその程度を詳しく調べる。

②低侵襲カテーテル治療

胸や脚を切開することなく、動脈の狭窄や閉塞を治すことができる手術法。細い検査用の管を心臓なら手首、脚なら付け根や足首から挿入(局所麻酔下)、エコーやCTの画像を参考に透視モニターを見ながら診断し、必要に応じて治療する。
■カテーテルによる治療例(下肢動脈)

熟練専門医が診察から治療・フォローまで

熟練した専門医が、周囲の医療スタッフと共に、診察から治療、リハビリまで総合的に診る医療環境が当院の強みです。

■問い合わせ/患者支援センター TEL.0742-35-2219
■取材協力/医療法人康仁会 西の京病院 TEL.0742-35-1122(メディカルプラザ薬師西の京事務局)奈良市六条町102-1
https://www.nishinokyo.or.jp/

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