〈奈良市〉ジャパン・ブルーに魅せられて栽培から染めまで、全てをこなす藍の伝道師/INDIGO CLASSIC小田大空さん

奈良で活躍する“奈良もん”
今回は、奈良市を拠点に藍の栽培や染色を行う「INDIGO CLASSIC」の小田大空さんをご紹介!

人類最古の染料といわれる藍。日本では7世紀に中国から伝わって以来、日本人の生活に深く根付き、武士の時代には縁起の良い「勝ち色」として好まれ、明治時代には海外から「ジャパン・ブルー」とも称えられた、わが国を象徴する色だ。
奈良市を拠点に藍の栽培や染色を行う小田大空さんも、藍に魅せられた人物のひとり。2022年に自身のブランド「INDIGO CLASSIC」を立ち上げ、同市北之庄町の小さな工房を中心に藍の生産・製品製造に取り組んでいる。  小田さんが藍染に出合ったのは学生時代。母親に連れられて訪れた大和郡山市の箱本館「紺屋」で藍染体験をした時に、魅力を知ったという。
大学卒業後は2年半ほどアパレル企業に勤めていたが、藍染の魅力が忘れられず、藍に携わる仕事がしたいと退職。藍の一大産地である徳島県上板町へ、藍に関わる地域おこし協力隊として修業し、任期満了に伴って奈良へ戻り工房を創業した。
工房の周りにある畑で春から夏にかけてタデアイを栽培。45アールの畑から約1年使用分の藍が収穫できる

藍の業界では藍の栽培と蒅(すくも)という染料を作る「藍師」染色をする「染師」の分業制が一般的だが、小田さんはこれを両立し、また営業や製品企画・生産に至るまでの全ての工程を一貫して行っている。

その訳は“お客さんに全てを伝えたい”から。アパレル店員時代、自身も含めた店員は洋服のブランド名や商品の特徴について詳しい一方で、生産背景まで詳しい人は少ないことがコンプレックスだった。全てを担うことでより細部まで背景を伝えられるようになり、これを知ったお客さんが製品を大切に永く使ってくれる。こうしたサイクルを作りたいと今のスタイルを貫いている。
蒅:タデアイの葉を乾燥・発酵させて堆肥状にしたもの
蒅発酵の切り返し作業の様子

創業から3年、各地への営業や出展、ワークショップの開催などいろいろな試行錯誤を重ね、現在は法人からの受託生産をメインに仕事をしているが、将来的には自社ブランドの展開や実店舗の整備も考えているそう。

「見た目はシンプルだけど、その裏側を見れば藍の栽培から染色、商品の完成に至るまで全ての工程に背景がある。製品を通じて一つひとつの物語を伝えられたら」と小田さん。こだわりの詰まった奈良産ジャパン・ブルーにぜひ一度触れてみてほしい。
基本情報 Basic Information
INDIGO CLASSIC/インディゴ クラシック

人気記事とあなたへのおすすめ