口腔ケアで万病を防ぐ! 腸まで届く怖い歯周病菌

腸まで届く怖い歯周病菌

栄養素の消化吸収や免疫力など、健康に大きな影響を持つ腸。今、口内の歯周病菌が腸まで届いて腸内環境を乱すという研究が進んでいる。歯周病が全身の臓器の疾患リスクを高めることはかつての特集で何度も取り上げてきたが、今回は腸との関係にも目を向けた。
人生100年時代と言われる超長寿時代だが、はたしてどれだけの人が健康長寿を全うできているだろうか。近年の研究で、歯周病と全身疾患のリスクとの関連性が取りざたされている。脳梗塞、アルツハイマー病、狭心症・心筋梗塞、がん、糖尿病、早産・低体重児出産や骨粗鬆症、肥満などへの悪影響があるとされる。
その歯周病がなぜ全身病に関連するかというと、歯周病は慢性的な炎症だからだ。炎症は、防御機能の免疫が原因物質を取り除いて修復しようとする過程で起きる反応。だが、炎症が慢性化すると免疫は働き疲れて消耗。その結果、前述のような生活習慣病などがあるとそれが悪化するわけだ。

歯周病菌は口→胃→腸

口腔内の歯周病菌は、口腔や鼻腔の血管、気道から肺に侵入するものも多いが、口から胃、腸へも送られる。胃酸はほとんどの菌を殺すと言われているが、胃が弱っているとそのバリアをかいくぐって腸に達してしまい、腸内細菌のバランスを乱し、腸の免疫細胞が大混乱。これが全身の臓器の炎症につながり、全身の疾患にリンクしてしまうそうだ。
腸内細菌のバランスを整えて腸内環境を改善する「腸活」は、もちろん大切なことだが、口腔内細菌を野放しにしていては、効果は薄い。全身の炎症リスクを減らし、健康寿命を延ばすためには、口腔ケアこそが大事になってくる。

歯周病菌は早期発見
早期治療が肝心!

歯周病はごく初期のものを含めれば45歳以上の2人に1人がかかっており、しかも増加中という調査結果(2016年/厚労省)もある。
歯周病は”サイレント・ディジーズ(静かなる病気)“と呼ばれ、気づかぬうちに進行する。初期にはほとんど症状がなく、わずかな歯茎の腫れや出血などを放置していると、初期症状の「歯肉炎」から「歯周炎」に進行。歯を支える土台の「歯槽骨」が溶けて、歯が抜け落ちる。健全な歯と口を取り戻せるのは初期のうちだけなので、早期発見・早期治療が効果的!

セルフケア

① 毎食後の歯磨き

〝磨ているではなく、磨ている〟が大事。
歯ブラシ(1回3分)、歯間ブラシ、フロス併用で。

よく磨ける歯の磨き方

90°

歯間部をしっかり磨く
スクラッピング法
簡単で洗浄効果が高く、
子どもから大人までおすすめの磨き方

よく磨ける歯の磨き方

45°

歯と歯茎の間を重点的に磨く
バス法
歯周ポケットの中の汚れを除去。
歯茎のマッサージ効果も。

② よく噛む

食べ物をよく噛む(一口20~30回)。噛むことでだ液が分泌され、消化を助け、食べかすや歯垢の洗浄、口中のpHを中和、抗菌・殺菌作用のある成分が細菌の繁殖を抑える。

マウスウオッシュ(口内洗浄液)で口すすぎ

マウスウオッシュは、口内を浄化し、口臭予防にも効果的。

④ 口呼吸 → 鼻呼吸

口呼吸だと口内が乾燥し、だ液の分泌が減って自浄・抗菌作用などが低下。

免疫力アップ

生活習慣を見直して、外部からの細菌に負けない免疫力を高める。

禁煙

タバコの有害物質は、血流を悪くするため歯周病になりやすく症状も悪化。

yomiっこ編集部の歯セルフケア

お風呂で、歯間ブラシ→糸ようじ→歯ブラシを15~20分。温浴効果と丁寧歯磨きの一石二鳥♪
歯ブラシにこだわり、奥歯や親知らずを意識して磨き、半年に1回定期健診
電動歯ブラシ(磨き時間表示機能付)を使い、入浴タイムに。1本1本意識して磨く。定期健診は年に1~2回
ホワイトニング中ということもあり、着色しそうなものは控え、食後最低2分は磨き(フロス併用)、定期健診は3か月ごと。
歯の健康を口やかましく言われず、抜歯は普通だった世代。yomiっこで特集を組み始めてから、3分間砂時計を使っての歯磨き、半年に1度の健診
朝晩の歯磨き以外は食べたらうがい。夜は歯間ブラシも併用、ブラシは軽く細かく動かすことを意識。4~5か月ごとに健診
虫歯になりやすいため、定期健診は3か月に1回。診察室にキッズスペースがあるので、子どもと一緒に通えるので助かっています。
朝食後と寝る前の歯磨き。歯並びの悪い所は意識して磨く。
朝晩3分の歯磨き、夜はフロスをしてから歯磨き

歯周病・虫歯などの治療は
きちんと行うのは大前提!

プロのケア 定期健診

半年~4か月に1回程度、歯科医の健診を受ける。歯周ポケットやかみ合わせなどのチェック、歯周病の病巣となる歯石や歯垢の除去など、歯科衛生士さんのクリーニングでスッキリ! 
写真:松井デンタルクリニック

思いあたる症状は!
歯周病チェック

全体について
歯肉について
歯について
参考:日本臨床歯周病学会HP
判定
チェックが1~3個の場合
歯周病の可能性あり、軽度のうちに治療を
チェックが4~5個の場合
中等度以上に歯周病が進行している可能性あり。早期に治療を。
チェックがない場合
無症状でも歯周病が進行することがあるため、年に1回は歯科健診を。
戻る