編集長のメッセージ(6月)

ペットボトルの蓋が開けられない。
実は2か月前、ある工事現場でロープに足を取られ、勢いよく転んでしまった。その時、右手親指の付け根の靭帯を損傷、当初は紙1枚すら持ちあげられず苦労した。何とか回復してきたものの、2か月経つのにまだ雑巾を絞るなど力を加える行為が痛くてできない。
その最たるものがペットボトルの蓋。固くて開けられない。家では夫に開けてもらうが、会議の折などは、出されても蓋が開けられず、飲むのを我慢し続けている。
そんな小さなことと思ってしまいがちだが、結構ストレスであり、支障をきたす。その立場になって初めて、高齢者や障がい者にはいかに暮らしにくい世の中かと気づくことになる。
昔、曽野綾子さんの小説で、ジャムの蓋を開けられず困っているおばあさんを見て心を痛め、そのジャム会社の社長の娘を殺すというストーリーのものを読んだ記憶がある。この犯人は本当に悪人と言えるのか。読者に考えさせる深い内容だ。が、私はジャムの蓋が開けられないことに妙に共感した。
ところが、ネットで調べてみると、ペットボトルやジャムの蓋が開けられなくて困っている人が結構多いことを知った。
方法は2つ、一つは輪ゴムなどの補助用品を使って開ける方法、もう一つは衰えてきた筋力を上げること。その前に、自力で試す方法としては、広い表面積で力を入れる方がいいので、キャップを固定して下のボトルを回す。それでも開かなければ、100円ショップでゴム手袋を買ってきて手が滑らないようにして開けるとか(大層だな)、ペットボトル以外にもジャムの蓋なども簡単に開けられるオープナーがあるとか。これがお手軽じゃないか。これも100円ショップで売られているらしい。
握力を上げる方法は、テニスボールなどを毎日少しずつ握って力をつけていくこと。握力の低下は脳卒中などの病気が発症しやすくなるそうなので、こちらも同時に行いたい。
さしずめ私はオープナーを買いに行こう。

よみっこ編集長 朝廣 佳子

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