若いお坊さんへのリレーインタビュー
「Boze数珠つなぎ」
#266【番外編】
世界三大荒行の一つ、日蓮宗「大荒行」に5度目の挑戦
世界三大荒行の一つとされる、日蓮宗の大荒行に、名張市桜ケ丘、神通寺の住職・鷲阪仁昭さん(50)が挑み、このたび5回目を終え最高位を取得、2月28日に、神通寺で成満の帰山奉告式を行った。大荒行とはどんなものなのか、鷲阪さんの帰山奉告式を特別に取材した。
Profile
神通寺 住職
鷲阪 仁昭 師
わしさか じんしょう
世界三大荒行
日蓮宗の百日大荒行
百日間、睡眠2時間半で水行や読経を行う
天台宗の千日回峰行
比叡山で千日山中を歩き続ける行
比叡山で千日山中を歩き続ける行
インド仏教のヨガ修行
瞑想や呼吸、断食などを組み合わせた行
瞑想や呼吸、断食などを組み合わせた行
日蓮宗は鎌倉時代中期に日蓮上人によって興されたもの。法華宗とも呼ばれ、「南無妙法蓮華経」を唱える。山梨県の身延山久遠寺が総本山。
大荒行は、毎年11月1日から2月10日までの百日間、千葉県市川市の大本山・法華経寺で行われ、任意で行を受けるもの。
どんな荒行なのですか?
寒さと飢えと睡魔に耐え、外界から遮断された環境でする百日間行です。成満した折15kg痩せていました。
- 午前2時半起床、寒中3時~午後11時半までの間、1日7回の水行
- 読経、写経を中心に、水行までの間、荒筵にて法華経を読み続ける
- 食事は朝夕の薄粥とみそ汁のみ。睡眠は約2時間半
- 寒さに耐え、足袋をはかず裸足で修行
- 外部との連絡は禁止、暖房もなし
- 最初の35日間は面会謝絶。百日の期間中身内が亡くなっても出ることはできない
- 身に付けるのは麻と綿の法衣のみ
特にどんなところがつらいですか?
睡眠が短いことです。毎日2時間半の睡眠が百日続くわけで、常にボーっとして頭がおかしくなりそうです。皆ちょっとした失敗を責め、いざこざが起きることもあります。そんな状況下においていかに平静を保つかが修行と思います。
読経や写経で座りっぱなしの時間が多いのも大変です。初めての人などは膝から下が紫色に腫れ上がることもあります。
壮絶な水行
水行はもちろんつらいです。厳寒の午前3時から凍った水をかぶるので、中には皮膚が割れたり血がにじんだりする人もいます。
大荒行には衛生班もいて、看護師が常駐し、医師も週に一度来られます。命を落としてもおかしくない行なので、そうしたぎりぎりのところで最悪のことが起きないようにはしています。
極限の状態で己を鍛える。そこまでして行をする目的は何ですか?
己を極限まで追い込み、精神と肉体を鍛え上げるためです。この行は、元々日蓮上人の教えを京都に広めなければと布教を決意した弟子の日像上人が、百日間の水行、百日間の寿量品読経を修められました。
百日間で五段の邪気(生霊、死霊、呪詛、疫神、野狐)を取ります。またこの行は5回受けられるのですが、回数に応じて受け取る秘法が違います。私は今回5回目を成満し、最高位の皆伝伝師 相承を賜りました。
名張市在住の檀信徒さん 「私たちのために命をかけて荒行に挑んでくださり、本当に有り難いと同時に誇りに思います。元気にお帰りいただいてとてもうれしいです」
最高位を成満されたお気持ちはどんなものでしょうか。
うちはご祈祷寺なので、人々の願いをかなえていただくには、私自身が修行を重ね、秘法をいただきたいとの思いが強く、支えて応援してくださる檀信徒の皆様のためにと頑張ってきました。
今回9年ぶりに50歳で挑みましたが、肉体的に相当きつかったです。ですが、5回目ということもあり、自坊以外の様々なお寺からも応援していただきました。自分がいかに多くの方に支えていただいているかを実感しました。終えてみて、これからは自坊もさることながら、日蓮宗の教えをもっと広く皆様に知っていただけるよう邁進したいと思います。皆様がご自分の願いをかなえていかれるときに後押しする力になりたい、そんな気持ちです。
身延山高校入学以来、修行場での生活が長く、今まで世間のことをあまり知らずに歩んでまいりました。今はこれでよかったと思っていますが、これからも引き続き精進しながら南無妙法蓮華経を広めてまいりたいです。
聞き手:朝廣佳子


