避難のウクライナ人・オクサーナさんが思いを語る

ロシアのウクライナ侵攻で、多くの市民が犠牲になる痛ましい状況が続いている。
ウクライナ人のオクサーナ・コベリャンスカさん(45)も昨春、子ども2人と天理市に避難、天理大学に勤務している。奈良ロータリークラブ(乾昌弘会長)の例会で、ウクライナへの思いを語った。

ロシアが戦いをやめれば戦争はなくなるが
ウクライナが戦いをやめればウクライナはなくなる

1995年から1999年まで天理大学に留学していました。
その時奈良ロータリークラブから米山奨学金をいただき、勉強に励むことができました。
今回そのご縁で天理大学で避難を受け入れていただきました。

ウクライナは9か月以上前から戦争の渦中にいます。
今、ウクライナ人皆が思っているのが「ロシアが戦いをやめれば戦争はなくなる。
ウクライナが戦いをやめればウクライナはなくなる」という言葉です。

ウクライナとロシアは全く別の民族

「ウクライナとロシアは兄弟国」とか、「ウクライナは武器を置いてロシアと交渉すべきだ」「ウクライナがロシアに占領地を渡せばプーチンは戦争をやめる」といったことを聞いたことがあるでしょう。

ウクライナとロシアは一つの民族ではありません。
それぞれ別の形成と発展の歴史を持っています。
その歴史の中で百年もの間双方は繰り返し戦い、ウクライナはロシア帝国、ソビエト連邦に侵略されてきたのです。これは「兄弟戦争」でも「内戦」でもありません。
「侵略してきた国」と「されてきた国」の関係です。

一千万人以上がジェノサイドで亡くなった

当時、ソ連政府はウクライナの独立を阻むためにあらゆる手を尽くしました。
ウクライナの文化、言語を禁止し、2年弱の間だけで一千万人以上がジェノサイドで亡くなったとされています。

ソ連政府が崩壊した後も、ロシアがウクライナを侵略しようとし、また戦争を始めました。
ウクライナを国として完全に破壊し、ウクライナ民族を滅ぼすために、何度もジェノサイドが起きています。ウクライナ人はこのことをよく認知しており、武器を置くことができません。降伏という選択肢がないのです。ウクライナがなければ新たなジェノサイドが起きます。
チェチェンやクリミアの例がその証拠で、数年前、ロシアに敗れたチェチェンの男性たちは今ウクライナで戦っているのです。

平和のためにウクライナ人は戦いをやめない

今ロシア軍に占領されたウクライナでは、恐ろしい犯罪が起こっています。

民間人殺害・拷問・私有財産の略奪・都市や村の破壊・住民の強制移住・子どもの拉致です。
ロシアと交渉して領土を譲り渡しても、一時的な停戦に過ぎないのです。
ウクライナは自国の領土、自国の主権を、平和を守っているのです。
だから国が消滅しないために、武器を置くことができないのです。
武器を置くとウクライナ民族は消滅してしまうのです。
ウクライナは平和のために戦っており、平和はウクライナの国家理念です。
私たちは愛するウクライナのために、最後まで戦います。
皆様には理解し関心を持ち続けていただけると有り難いです。

戻る