12月11日[木]

〈桜井市〉里山で実践する、人と馬の親密な暮らし/株式会社 miru. 西岡秀華さん

奈良で活躍する“奈良もん”
今回は、宿泊施設『宿と馬miru.house』の代表 西岡秀華さんをご紹介!

里山の風景を今に伝える桜井市萱森に佇む「宿と馬miru.house」。2024年11月に開業した同施設は、築70年の日本家屋をリノベーションした宿泊施設だ。敷地には3頭の在来馬が放牧され、宿泊者は里山での乗馬を通じて、馬と触れ合うことができる。かつて日本にあった“人と馬とが寄り添う里山の暮らし”を実践する、代表の西岡秀華(しゅうか)さんを訪ねた。

西岡さんが馬を好きになったきっかけは、2歳の時に読み聞かせてもらった絵本「スーホの白い馬」。自身でも暗唱するほど読み込み、モンゴルを舞台に描かれた人と馬との暮らしに引かれて、大学時代には同地を訪れた。

大学卒業後はアパレル企業に就職。週末には乗馬クラブに通い、小学3年生の時に始めた習字から、書壇・翠心会に在籍し書の創作に向かった。創作のテーマには馬に関する言葉を選んだ。「馬に関わる字を掘り下げることで人と馬との親密な関わりを改めて知りました」と西岡さん。
馬との暮らしの実践と、書創作に打ち込むため、2018年に退職し、宇陀市の有機農業研修に参加した。そこで紹介された「一般社団法人はたらく馬牧場」が主催するイベントで、ずんぐりむっくりとした在来馬が入り組んだ山道を通り、間伐材を運ぶ姿を目にした。同法人は山から降ろした間伐材をストーブの燃料となる木質ペレットに活用し販売することで、里山資源を経済活動につなげていることを知り感銘を受けた。
西岡さんはイベントが行われた桜井市萱森に移り住み、同法人の研修に参加した。馬堆肥を利用した循環型農業やペレットストーブの普及活動を行ったことをきっかけに、同法人の取り組みを受け継ぎ、2021年に「株式会社miru.」を設立。宿泊施設にもペレットストーブが置かれ、珪藻土や断熱材を組み合わせた健康的な住空間を体験できる。
ペレットストーブ
客室
また、活動を通じて出合い、宇陀市で受け継がれる技術「春日なめしの鹿革」を使用した馬鞍を開発。鹿革の放熱効果を利用した馬の脚用のバンテージや、宿泊施設で使われる美容・健康にアプローチするタオル・枕カバーなど、オリジナル製品のプロデュースも行っている。
春日なめしの鹿革を使用した馬鞍
「午年を迎える来年は、いろいろな人に知ってもらい来てもらえる年にしたい。最終的には馬と一緒に日本の良い暮らしをつないでいきたいです」と西岡さんは展望を語った。
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基本情報 Basic Information

宿と馬miru.house/ミルハウス
  • 住所: 奈良県桜井市萱森1255
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