〈橿原市〉伝統の酢醸造を次代へ繋ぐ老舗酢蔵の17代目/ミヅホ株式会社 大西 佑亮さん 2026.3.10 鮎 奈良で活躍する“奈良もん” 今回は、お酢の醸造蔵『ミヅホ株式会社』の17代目 大西佑亮さんをご紹介! 酒を発酵させた調味料・酢。“料理のさしすせそ”にも挙げられる身近な調味料で、酢に含まれる酢酸には血糖値の上昇抑制や、内臓脂肪の減少、疲労軽減などの効果があるという。 橿原市のミヅホ株式会社はおよそ370年にわたり酢を醸造する老舗蔵で、創業以来、木桶仕込みによる製法を守り続けている。 ミヅホの歴史は長い。先祖がこの地に落ち着いたのは室町時代と伝わり、4代目・源の助が1658年に米酢の製造に着手したことを原点に、1894年、13代目・甚松が酢製造許認可を取得。以後数々の賞を受賞するなど、ミヅホの酢は多くの人に長く愛されてきた。 同社の酢づくりは日本酒をつくることから始まる。できた酒を吉野杉の木桶に移し、3か月以上かけてじっくりと酢酸発酵させる。木桶や蔵に棲みつく微生物が発酵を助けることで、蔵独自の風味を作り出し、まろやかな味わいに仕上がるのだとか。 蔵には30石(約5,400L)の木桶が約80本。中には自社の山で育った吉野杉を使ったものも 時間と職人の技術をかけて作られる酢だが、現在の食生活において酢を積極的、継続的に摂る機会は多くないのが実情。その中で同社は2024年、新ブランド「saku」を立ち上げ、昨年6月から2種類の希釈用ビネガードリンクを販売している。 ブランドを手掛けるのは17代目の大西佑亮さん。父からは「儲からないから継がなくていい」と言われ、一時は自動車業界に身を置いたが、2023年に実家が登録有形文化財に指定されたことを契機に「この家業をなくしてはならない、何かまだできることがあるのではないか」という気持ちが芽生え帰郷した。 saku Kurozu Spicy おいしく、気軽に、自然と楽しみながら酢を日常に取り入れるために、大西さんが目をつけたのは酢をベースとしたドリンク「シュラブ」だった。 シュラブは体が温まるなど、アルコールを摂取した時のような体感を得られると考えられていたことから、米国では禁酒法時代にアルコールの代替品として楽しまれていた。 これを参考に、純米酢と純玄米黒酢をベースにドライフルーツやスパイス、ハーブを漬け込み、試作を重ねて新感覚のビネガードリンクが完成した。 ドリンクはノンアルコールで、様々な場面に対応し、体質を選ばないのが特長。健康のために仕方なくではなく、おいしいから飲み続けたくなる商品を目指す。 現在「saku」の販路拡大とともに、蔵見学をはじめ国内外に向けた体験の計画や情報発信にも取り組む。「お客さんとコミュニケーションを取れる機会を増やすことでより価値を伝えていけたら。またこれを機に木桶づくりや林業とのサイクルについても発信していきたい」と大西さん。 登録有形文化財の瑞穂酢(大西家住宅)